2014年中国経済の新常態を読み取る9つのキーワード |
中央経済活動会議では、経済動向の一連の変化は中国経済がより高いレベル、より複雑な分業、より合理的な構造段階へと変化しつつあることを表していると指摘された。中国の「経済の新常態」を如何に認識すればよいのか、2014年のキーワードを通して振り返ってみた。 「キーワード1」 革新による消費けん引 腕時計、自転車、ミシンという「旧3種の神器」からカラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機という「新3種の神器」まで、さらに自動車の爆発的成長、携帯電話などの情報消費の急増などにより、革新のない模倣型消費時代が次第に過ぎ去ろうとしている。 インターネットの発展と3D印刷技術の進歩は工業化、大規模生産という雷同の時代に挑戦を挑んでいる。上海科学技術院世界経済研究所の張幼文所長は、「未来における販売の個性化・多様化は業界発展には思考回路の変化が必要だということを意味するもので、製造業やサービス業のいずれも時代と共に変わっていく」と話す。
「キーワード2」 新業態への投資 「余額宝(アリババのオンラインMMF)」、「現金宝」、「如意宝」といったネット金融商品の誕生は、客源を心配せぬ商売身分の銀行業を脅かしている。天猫Tmallは11月11日という「ダブル11」の日に、単日取引額500億元の記録を打ち立てた。新業態と商業モデルの相次ぎ誕生は投資環境全体の変化を巻き起こした。 交通銀行の連平チーフエコノミストは、「新技術による新投資機会の中で、かなり多くの産業は投資が比較的に分散し、投資の主体も分散した零細企業かベンチャー企業だ。新しい技術は見通しが不確実で、抵当物も少ない。このような投資の新常態とマッチングするように、投融資システムにおける多くの革新を行わなくてはならない」と指摘する。 「キーワード3」 高速鉄道車両の輸出 これまでの服装関連商品の輸出から現在周辺諸国への狭軌高速鉄道ユニット、ハイエンド医療機器の輸出、新型製品の国際工業デザイン大賞の受賞など。「目下中国の輸出情勢は厳しいものの、輸出競争の優位性は依然として健在だ」と専門家は見ている。 「肝心なのは製品のグレードアップとモデルチェンジだ。沿海地域における靴、手袋、服装、帽子の生産、これら低付加価値製品の業界を次第に淘汰し、高付加価値製品の方向へ発展させなくてはならない」と連平氏はこう話しながら、「政府は管理方法を改善し、例えば、政策の緩和や人々が起業しやすい環境、市場主導型革新に有利な政策や制度的環境を整備する必要がある」と指摘する。 「キーワード4」サービス業の台頭 中国は工業大国からサービス業強国へ転換しつつある。2013年、中国サービス業の増加値は初めて第二次産業を越え国民経済における最大の産業となり、今や中国経済成長の新たなけん引役になっている。経済成長率は低下したものの、全国都市部における新規雇用人数は年間目標を前倒しで達成した。 「投資と輸出主導型経済が消費主導型経済に移行する過程で、商業・貿易・物流、インターネット金融といった生産的サービス業の需要は必然的に増えていく」。中国(海南)改革発展研究院の遅福林院長は、「消費構造のグレードアップは供給市場の並行成長をもたらし、差別化サービスの提供につなげる。例えば、現在養老消費の潜在力は完全に掘り出されておらず、養老消費の供給も遥かに足りない」と指摘する。 「キーワード5」革新けん引型発展 世界工場の形が次第にできつつ、東南アジアなど周辺地域が外資企業の新寵児となっている。曾ての業界巨頭であるコダック、ノキアはいずれも新たな消費パターンの前で敗戦を喫した。高齢化の日々進行、労働力コストの上昇、人工・資源ボーナスの減少いう背景の下で、革新は特に経済発展のけん引役になる必要がある。 「将来は労働力の戦いではなく知力の戦いになる」と遅福林氏はこう断定しながら、「消費構造のグレードアップは革新に一層高い試練を挑んでいる。それはチャンスだ。差別化消費、サービス業の発展は雇用を作り出すだけでなく、各種人材に革新するプラットフォームを提供している。それは試練でもある。数百万人の大学新卒が仕事先を見つからないのは中国教育構造の不合理化、職業教育の欠乏さを浮き彫りにしている」と指摘する。 「キーワード6」一元起業 2014は公平な市場環境作りに徹した一年だ。反独占新常態の発動、一元起業、「市場の公平的競争を促進し市場の正常な秩序を維持することに関する若干の意見」の施行、そのいずれも企業に公平、統一かつ透明な市場環境を構築するためにあるものだ。 「キーワード7」引き止めたいAPECブルー スモックのかかった空は多くの中国市民の心臓や肺を痛む深刻な問題となっている。公表データーによると、2014年に取り締まった違法環境問題は明らかに増えている。環境違法を徹底的に取り締まり、APECブルーを引き止めるというのは全国民のコンセンサスとなっており、大型化学工業や高度汚染の発展モデルは必ず淘汰される。 遅福林は、「良好な生態環境は基本的な公共ニーズとなっているため、政府が提供すべき公共製品にもなるわけだ。これまでエネルギー資源と生態環境には比較的大きな余地があったが、今環境の許容能力は上限か上限近くに達している。グリーン低カーボンは主流になるだけでなく、中国経済の構造調整や生産方式の転換を行う重要な目標の1つになる」と話す。 「キーワード8」リスク分解のメカニズム 不動産価格の高騰は「マイホームを購入できず子供の養えない」という第一線の都市で働くサラリーマンたちの泣き声を誘い、それによってもたらされる金融リスクは軽視すべきものではない。経済成長の低空飛行中において、過剰な生産能力や地方債務を含む潜在的リスクが顕在化しつつあり、ハイレバレッジやバブルを主な特徴とする各種リスクを分解することは今後も続くであろう。 「不動産や地方政府債務といった潜在的リスクの存在は改革を通じて解決しなくてはならない。地方政府が新しい街づくりに熱中するのは現行の経済モデルや財務・税体制と密接に関わるものだ。債務返済期限の接近、地方債務割合の上昇といった問題もかなり手ごわい。将来、リスク分解の体制・メカニズムを構築し健全化する必要がある。そうすることによって、「当政府の債務は次政府が返済する」というような債務危機が免れぬことになる」と遅福林が指摘している。 「キーワード9」科学的マクロコントロール 登録後審査項目が100近く増えている。「許可書が先にもらって、許認可がその後になる」という制度は企業への規制を緩和した。上海自由貿易区は苗圃づくりを重んじて、複製でき普及できる一連の改革方式を作り上げた。行政スリーム化と権限委譲、改革革新といった一連の措置は深化しつつある。
2014年12月22日 Facebook:China.org.cn JP Twitter:@ChinaorgcnJP
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