日本政府が先月14日、集団的自衛権の行使と日米軍事一体化に関する一連の安保関連法案を閣議決定し、国会での審議に入ると、日本の各界は同法案に違憲の疑いがあり、国策の大きな間違いを犯すことになると批判している。
安倍政権が安保関連法案の成立を急ぐのは、日本に戦争権を与え、米国との軍事協力の強化を通じ、米日の東アジア・西太平洋における強い勢力を維持するためだ。しかしながら戦争権を取り戻すためには、必然的に現行の憲法を根本から変えなければならない。平和憲法と護憲派という、二枚の壁が立ちはだかっている。
日本国民が安保関連法案に強く反対するのは、戦後70年の平和的発展をへた日本が、再び戦争に巻き込まれることを恐れているからだ。新たな安保関連法案が国会で成立すれば、日本は将来的に参加する必要のない戦争に巻き込まれるばかりか、歴史の同じ轍を踏み、周辺の特定の国を仮想敵国とし地域の平和を安定を損ねる可能性がある。
このような懸念には、根拠が無いわけではない。日本は敗戦後に平和憲法を受け入れた。この憲法は日本の自衛の権利を保証し、かつ軍事同盟により同盟国から安全保障を受けた。ゆえに、日本の国家安全は十分に保障されている。平和憲法は日本の安全面の懸念を払拭し、アジア太平洋の日本の侵略を受けた国々に、平和的で積極的な姿勢を示した。
しかしながら安倍首相は侵略を否定し、謝罪を拒否し、今やさらに平和憲法を変えようとしている。日本と世界の人々は、このような政府が日本をどこに導くのかを強く疑問視している。日本で右派が台頭し、歴史修正主義が台頭する現在、日本人は日本の平和を守る最後の壁が、平和憲法9条の「戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認」の規定であることを知り尽くしている。
自民党内の高官・元高官も、安倍政権が成立を目指す安保関連法案を深く憂慮している。日本が安保関連法案を成立し、戦争権を手にし、日米の軍事協力を強化した場合にどのような結果がもたらされるかを、日本人と各界はよく理解している。米国からすれば、日本を「アジア太平洋リバランス戦略」の力強い助手とすることで、自国の地域における圧倒的な地位を強化できる。日本からすれば、中国を仮想敵国とすることで米国からより多くの安全の約束を引き出すことができ、かつて侵略によって手にした権益を維持できる。日本が戦争権を手にすれば、日本が米国の戦車に縛り付けられるか、日本が米国を頼りにしアジア太平洋でさまざまな災いを引き起こすかのどちらかだ。
安倍政権は独断専行を続け、権力を頼み国民を欺き、日本を危険な方向に推し進めている。日本人にはこれに反対し、平和な未来を守る理由がある。全世界のすべての良識ある人々には、平和を守る日本人の正義の戦いを支持する理由がある。(筆者:沈丁立 復旦大学国際問題研究院副院長、教授)
2015年6月16日
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