中国の習近平国家主席は24日、サウジアラビア、エジプト、イランの外遊を終え北京に戻った。今回の中東3カ国歴訪の最後の目的地はテヘランだった。習主席はイラン最高指導者のハメネイ師と会談し、さらにロウハニ大統領と共に「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)建設の共同推進に関する覚書を含む、17件の協力協定の調印に立ち会った。双方は両国の全面的戦略パートナーシップを構築することで合意した。習主席はイランの核問題の解決後、初めてイランを訪問した外国人首脳となったことから、国際メディアは両国の歩み寄りに注目している。
習主席は23日午前、ロウハニ大統領との会談において、中国がイランと共に一帯一路の枠組み内の各分野で、実務的な協力を強化する意向を持つことを強調した。ロウハニ大統領は習主席の訪問を「重要な歴史的事件」とし、「私はイランと中国の関係の新たなページがめくられたと信じている」と述べた。ロウハニ大統領は会談後の共同記者会見で、「両国は25年間のパートナーシップを構築する長期計画について議論し、今後10年間に渡り貿易額を6000億ドルに拡大することで合意した」と話した。
ドイツメディアは24日、「イランと中国は新時代に突入した。習主席は制裁解除後にイランを訪問した初の外国人首脳となった」と報じた。イラン国営イスラム共和国通信(IRNA)は、「中国とイランが調印した17件の文書と意向書には、商業・司法・民事の内容が含まれる。うち最も重要なのは、一帯一路および生産能力の協力に関する枠組み協定だ。一帯一路の枠組み内のプロジェクトの連結を支持するため、イラン政府の特別チームは部門を跨ぐ委員会を発足した。メンバーには各部門・委員会、企業、商会の代表者が含まれる」と伝えた。
制裁解除後、人々はイランの新市場に目を向けた。ドイツ通信社は、「イランは依然として、中国を信頼できるパートナーとしている。ロウハニ大統領は、国際社会が核問題でイランを制裁したが、中国はイランを支持していたと表明した。そのためイランの核協議の合意後も、中国はイランにとって最大の貿易相手国という地位を維持することになる」と伝えた。元駐中国イラン大使は環球時報の記者に対して、「中国との長期的な戦略パートナーシップは、イランの基本的な国策、全国の共通認識となっている。イランは現在、中国の中東における最大の貿易パートナーとなっている。中国はイラン産石油の最大の消費国であり、最大の対イラン投資国でもある」と述べた。
BBCは、「中東ではかつて、米国とロシアの利益が中心だった。習主席の今回の訪問は、同地域における影響力を強化しようとする、台頭する中国の動きと見られている」と報じた。仏RFIは23日、「中国は中東地域で重要な役割を演じようとしている。習主席は今回の訪問で、経済協力を優先とする方針を貫き、政治面では複雑極まる中東関係に対して言行を慎む方針を貫いた」と伝えた。
2016年1月25日