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japanese.china.org.cn | 27. 09. 2016

中国製バイク、潰し合いで東南アジアから敗走

タグ: 中国製バイク,バイクの国

中国には成熟したバイク産業があるが、ベトナムやインドネシアなどの東南アジア諸国における中国ブランドの市場シェアは、不健全な競争による影響で日増しに低下している。前世紀にベトナム市場入りした中国ブランドのバイクは「全面敗退中」で、10年前にベトナムなどの市場への進出に成功した企業は、電動バイクの販売から農耕機の生産に転じることを余儀なくされている。バイクの敗退は、東南アジア諸国に進出する中国製品・中国企業に警鐘を鳴らした。目先の利益だけを目的とすれば、日韓などの企業に敗北しやすくなる。

バイクはベトナム人のステータス、中国ブランドはすでに不評

ベトナムは「バイクの国」と呼ばれる。ベトナム経済は近年急速に発展しているが、自動車取得税が高く設定されており、公共交通インフラの整備が遅れているため、一般人は外出時にバイクを最も頻繁に利用する。ベトナムでバイクは社会的な地位やステータスの象徴だ。多くの人は、日本ブランドのバイクは割高だが、体裁が良いと考えている。ベトナムの街頭では1台1万ドル以上もするバイクが多く走っており、入門クラスのコンパクトカーとほぼ同じ価格だ。豊かな家庭に生まれた若者は、イタリアや米国で製造された高級バイクを購入したがる。

記者はこのほど、ハノイの大型バイク店を取材した。店内を一回りしたところ、中国ブランドのバイクが見つからなかった。店員によると、中国大陸製のバイクは質が悪く、2-3年で壊れることが多いという。店では何年も前から中国ブランドのバイクを販売していないそうだ。今は日本のホンダやヤマハのバイクが最もよく売れており、韓国の大林、中国台湾の三陽の売れ行きも好調だ。店員はさらに、品質問題の他に中国とベトナムの南中国海における主権をめぐる係争により、多くのベトナム人消費者が中国ブランドに反感を抱いていると話した。

中国製バイクの状況は、ハノイよりもベトナム南部のホーチミンの方が良好と言える。ただし中国製バイクのベトナムにおける市場シェアは、合計しても5%未満まで低下している。今年の年初、ベトナム中国商会に登録されている、ベトナムで生産・貿易に従事する中国企業638社のうち、バイクの貿易と製造に従事しているのは力帆と宗申の2社のみ。

わずか10年でシェアが急低下

中国人民大学重陽金融研究院高級研究員の丁剛氏はハノイでリサーチを行ったところ、街頭を走るバイクはホンダやスズキでなければヤマハで、中国台湾製の三陽を時々目にすることがあっても、中国人に親しまれている嘉陵、力帆、宗申がないことに気づいた。ネット有名人代表団はベトナムの学者と交流し、ベトナムのバイク市場で日本ブランドが8割以上のシェアを占め主流になっていることを知った。前世紀末より相次いでベトナム市場に進出した中国製バイクは、「全面撤退中」となっている。

今年5月の報道によると、ベトナムのバイク保有台数は4500万台以上で、ベトナム人2人当たり1台保有していることになる。これほど大きな市場を中国企業が手放すはずがない。しかも10年前には高いシェアを占めていたのだからなおさらだ。日本のスズキ、ホンダ、ヤマハは90年代後半にベトナム市場に進出した。中国が生産するバイクの部品は2000年前後に大量にベトナムに入り、それから現地企業によって組み立てられた。ベトナムで中国のバイクを組み立てていた企業は、当時約60社あった。一部の中国ブランドのバイクの価格は約500ドルで、日本製の4分の1ほどだったため、売れ行きが好調だった。今世紀に入ってから最初の数年に渡り、中国ブランドのバイクはベトナムで8割の市場シェアを占めていた。この段階は一部の学者によって、「チャイナ・インパクト」と呼ばれた。

しかしこの衝撃がもたらした「威力」は、中国企業自身の問題と日本企業の巻き返しにより、徐々に弱まっていった。日本のホンダは2002年より廉価版を発売し、価格を従来の半額に抑えた。こうして中国製バイクの市場シェアを食い込んでいった。

中国バイクメーカーのベトナム市場における黄金時代はすでに過ぎ去った。業界全体が、再編に直面している。年初から現在まで、中国の東南アジアへのバイク輸出台数は前年同期比5%減となっており、年末にはさらに状況が悪化する見通しだ。

当時の過度な価格競争は、中国バイクメーカーの赤字の原因となった。値下げを繰り返せば、企業の研究開発費に影響が及び、製造コストを抑えなければならない。一部の中国製バイクの品質問題が明るみに出ると、ベトナムの消費者は高燃費といった問題により、再び日本ブランドのバイクを選択するようになった。

ブランド意識と長期的な観念に欠けた中国企業

ベトナム市場に早期進出を果たした中国製バイクは割安でも、ある程度の利益を手にした。ところが残念ながら企業はブランドとサービスに投資せず、最終的に日本に敗れた。宗申ベトナム法人の欧氏によると、ホンダなどの日本メーカーはブランドの信頼を樹立してから、低・中価格帯の製品を発売し、市場シェアを拡大した。

多くの中国製品の品質は現在、日本や韓国などのメーカーに完全に匹敵するが、以前の問題により今や日韓ブランドとの競争が難しくなっている。中国製品は知らぬ間に、現地人の「安かろう悪かろう」という固定観念を形成した。さらには中国製品と関連する、中国のイメージにまで影響が波及している。

中国―ASEAN商務理事会執行理事長の許寧寧氏は「産業の連結と分業は、中国とASEANの経済協力のメリットを最大化する」と述べ、中国企業の東南アジアにおける具体的な問題については「多くの中国企業のASEAN投資に乱れがあり、不健全な競争、潰し合い、価格競争の結果、製品とプロジェクトの質が低下している。ベトナム人は現在、日本の割高なバイクを買っても、中国の割安なバイクを買おうとしない。このような現象はインドネシアにもある。中国のバイクはインドネシアでかつてよく目にすることができたが、今やめったに目にしない。中国企業のASEAN投資は継続性に注意するべきで、目先の利益ばかりを追ってはならない」と指摘した。

電動バイクはバイクほど速くないが、安全でエコロジーだ。ベトナムでは、16歳以下の生徒はバイクでの登校が禁止されている。報道によると、ハノイは2025年にバイクの全面禁止を検討している。中国の電動バイクはベトナム市場で好評を博しており、毎年の輸出台数は60万台に達し、年平均で約10%増となっている。中国企業がこの市場に早期進出し機先を制すれば、日本企業を追い抜くチャンスが出てくる。中国の電動バイクメーカーは技術と生産の経験で、日本の先を行っている。経営者は、海外進出した中国企業は不健全な競争を続けるのではなく、互いに協力するべきだと指摘した。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月27

 

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