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第11回 自動車のシートベルト
発信時間: 2008-11-13 | チャイナネット

中国では、自動車に乗る人がシートベルトを締めていないことが比較的多いように思います。北京のタクシーの運転手さんたちも、シートベルトを締める人が少なかったように記憶しています。中国では、特に後部座席に座っている人で、シートベルトを締める人はほとんどいないでしょう。しかし、交通事故が起きた時、シートベルトを締めるか締めないかで、死亡する率が大きく変わってきます。

日本にいらっしゃる中国の方に注意していただきたいことは、日本では車に乗るばあい、前部座席(運転者席、助手席)はもちろん、後部座席でもシートベルトを締めないといけないということです。これは本年(2008年)の6月から、改正道路交通法が施行されたことによります。

道路交通法の第七十一条の三の2には、「自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転してはならない。」という規定があります。

11月13日の日本の新聞各紙の報道によれば、日本の警察庁と日本自動車連盟(JAF)が、今年6月の改正道路交通法施行で義務化された後部座席のシートベルト着用状況を調査(10月1~18日)したところ、シートベルト着用率は一般道で30.8%(昨年(2007年)同時期調査8.8%)、高速道で62.5%(同13.5%)と、昨年より大幅に上昇したということです。この調査は日本全国の一般道780カ所と高速道104カ所で実施したものです。高速道では、1万3538人中8465人が後部座席のシートベルトを着用していましたが、一般道では5万5844人中1万7173人しか着用していなかったということです。

日本における自動車保有台数(四輪車のみならず、二輪車、三輪車も含めて)は、本年2月末時点で7943万台でした(国土交通省発表)。交通事故死者数は、1970年の1万6765人が最悪の記録ですが、いろいろな対策を講じることで、減少傾向にあり、昨年(2007年)は5744人でした(警察庁発表)。そのうち、後部座席のシートベルト非着用による死者は168人いたそうです。シートベルトを着用していなかったことによる致死率は、着用の場合に比べて約3倍だったといわれています。

本年3月6日のチャイナネット報道によれば、「中国の交通事故死者数はここ数年、世界第一位という不名誉が続いており、交通安全に対する世間の関心がますます高まっている。交通事故死者数は世界第一位の年間約9万人に達し、道路交通の問題は解決が急がれる重要な社会問題のひとつとなったと示された。中国の各種自動車数はすでに1億5千万台を上回り、安全性能は消費者の自動車購入時のポイントとなっている。」とあります。自動車保有台数で、中国は日本の約二倍ですが、交通事故死者数は、日本の15倍以上もあるということになります。

日本の外務省でも、公用車に乗る時には、必ず後部座席でもシートベルトを締めるようにと徹底するようになっています。中国の方にも、シートベルトの着用を、前部座席はもちろん後部座席でもぜひお願いしたいと思います。

(井出敬二 前在中国日本大使館広報文化センター所長)

「チャイナネット」2008年11月13日

 

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