日本の1月1日からの新年の習慣としては、以下があります。調査会社マクロミルが11月下旬に日本全国の成人男女を対象に、インターネットで調査したところ、有効回答数1030のうち、それぞれの行事を行うと回答した人数を記述します。(12月6日付日本経済新聞報道。)
(1)お雑煮(ぞうに)を食べる・・・792
(2)年賀状を出す・・・776
(3)お節(せち)料理をたべる・・・673
(4)初詣に行く・・・603
(5)お年玉をあげる・・・579
(6)鏡餅を飾る・・・436
(7)祝いばしを使う・・・395
(8)七草がゆを食べる・・・294
(9)おとそを飲む・・・289
(10)鏡びらきをする・・・253
本当にいろいろな習慣があります。今回は、「初詣(はつもうで)」をご紹介します。「初詣」というのは、日本全国の各地で、お正月に神社・仏閣におまいりをし、今年一年、健康で、幸せに過ごせるようにと祈ることです。日本では、2月、3月が学校の受験の季節ですので、受験生とその家族は、合格するようにとのお祈りもします。
私も1月2日に明治神宮に行きました。明治神宮は、全国でも大変有名な神社の一つで、初詣客でいつも大変にぎわうところです。東京の原宿という若者が集まる場所の近くにありますので、若者も含め、そして家族連れ、中年、老人など様々な人が来ています。観光客もたくさん来ています。私がおまいりした時も、外国人も歩いていました。中国語で話している人たちにも会いました。
私が撮影した写真も掲載します。中国の仏教、道教のお寺と似ているところ、違うところがいろいろあると思います。
沢山の人がお参りに来ているので、神社の本殿にたどりつくまで30分以上待ちました(写真1)。警察もでて、人の整理をしていました。
本殿におまいりする前に、手を洗って、清めます(写真2)。
ようやく本殿にたどり着きました。みんな、お金を投げ入れています(「お賽銭(さいせん)」といいます。)。そして今年一年の健康、幸せなどを祈ります。(写真3)右側の白い布が張ってあるところにお金が投げ込まれています。
お参りが済んだ後は、お守りなどを買っています(写真4)。写真の奥に写っている矢は、「破魔矢(はまや)」といいます。今年一年、悪いことが起きないように、身を守ってくれるお守りです。
「絵馬」(えま)とよばれる板にお願いを書いています(写真5)。これは中国のお寺でも見られる風景ですね。日本の絵馬の歴史については、「奈良時代(710年~794年)の『続日本紀』には、神様に生きた馬を奉納して祈願したということが、書かれています。・・・やがて、馬形(うまがた)と言って、土や木でつくった馬を奉納するようになり、さらに板に馬の絵を描いて奉納するようになったのが、今日の絵馬の起源と言われています。」(飯倉晴武氏編著『日本人のしきたり』青春新書より)
おみくじをひいています(写真6)。写真のおみくじは、箱から木の棒を引き出し、それを、紙と交換します。その紙には、自分の運勢が書かれています。
その紙は、あとでひもに結わえ付けています(写真7)。おみくじは、中国のお寺でも見られますね。
NHKの1月1日の報道によれば、今年の正月三が日(=1月1日から3日までの3日間)だけで、明治神宮には、ほぼ例年並みの305万人の参拝客が見込まれるそうです。
昨2008年の正月三が日で、人出が多かった神社・仏閣は以下の通りです。(数字は主催者調べ。)
(1) 明治神宮(東京都)・・・317万人
(2) 成田山新勝寺(千葉県)・・・298万人
(3) 川崎大師平間寺(神奈川県)・・・296万人
(4) 伏見稲荷神社(京都府)・・・269万人
(5) 鶴岡八幡宮(神奈川県)・・・247万人
(6) 熱田神宮(愛知県)・・・235万人
(7) 住吉大社(大阪府)・・・234万人
(8) 浅草寺(東京都)・・・221万人
(9) 大宮氷川神社(埼玉県)・・・203万人
(10)太宰府天満宮(福岡県)・・・202万人
日本全国の主な神社・仏閣には、合計で9,818万人も人出がありました(以上、警察庁発表「新年の人出と年末年始の登山者に対ずる警察措置について」より)。
これは日本の人口(1億2768万人)の約77%にあたります。
日本全国には、法人として登録されているだけでも、15万以上の神社・仏閣があります。多くの日本人にとり、神社・仏閣への「初詣」が定着していると言えます。
(井出敬二 前在中国日本大使館広報文化センター所長)
「チャイナネット」2008年12月26日