2008年はジュディ・オング(翁倩玉)さんにとって、中国と関係のある2つの出来事がある。一つは7月14日に東京で開催した「ハートエイド・四川」のチャリティーコンサート、もう一つは9月17日から25日にかけて中国美術館で開催される木版画展だ。展覧会のオープニングに際して北京を訪れたジュディ・オングさんにインタビューした。
俳優や歌手のキャリアと版画のどちらが大切か
版画を習うきっかけ
もともと油絵を習っていた頃のジュディ・オングさんは、版画にはそれほど興味がなかった。しかし1970年代にある展覧会で見た、白い背景の黒い花と黒い背景の白い花の版画作品はとても美しく、その作品の作者である井上勝江氏に版画を習いたいと考えるようになった。
しかし一時の思いつきだろうと井上氏は受け入れず、ジュディ・オングさんは、兄がステレオを作るために買っていた木の板を使い、簡単な椿の版画を作った。そしてそれを持って井上勝江氏に訪ね、それをきっかけに版画芸術の道を歩むようになった。
1983年に制作した「冬日」が「日展」に初入選。1993年には初めて個展を開催した。2005年には「紅楼依緑」が「日展」の特選に選ばれ、中国人としては初めてこの賞を受賞した。
版画制作の中の大きな転換点
版画制作の中で大きな転換点はあったのだろうかという質問に、「最初の5年間はずっと白黒の版画を制作していましたが、その後、色をつけるようになったことが大きな転換点。そして『華堂初夏』という作品では、窓ガラスに花や木が映った様子を表現し、その表現は今までだれもしたことがなかったと聞いてとてもうれしかった」と、ジュディ・オングさんは図録を指差しながら、水や光を表現する上での工夫などを説明した。