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中国人の「柔軟性」と日本人の「計画性」
発信時間: 2009-01-15 | チャイナネット

日本ロケ現場で打合せをする筆者(左端)

日本でロケをするうえで、現地のコーディネートを担当する人たちがいる。彼らの存在なくして、我々の仕事は存在し得ない。きちっとしたコミュニケーションがあって、ロケは円滑かつ有意義に進む。私は彼らと中国側の橋渡しをする役割を担う。言葉の問題だけではない。思考回路、仕事のスタイル、価値観、判断基準、求める水準など、挙げればきりがない。

今回とくに苦労したのは、日本側は計画的に、順序立って物事を進めたがるのに対して、中国側は行き当たりばったりで進めようとする「習慣の違い」である。日本では主に屋外のシーンを集中的に撮っているのだが、たとえば、公共の道路であれば、撮影の事情を具体的に、詳細に市役所に申請して、許可を得る必要がある。許可が下りるにはそれなりに時間もかかる。私有地を使うにしても、最低限、その土地を所有する人と交渉する必要がある。

しかし中国側は「さまざまな理由」で計画を随時「出せない」。というよりは「出さない」。「さまざまな理由」で撮影の順序やスタイルに変化が生じることが多いからだ。どこでどのように撮るか分からないから、日本側は許可を申請できないし、私有地の管理人と交渉もできない。中国側は行き当たりばったりで向かった場所で、許可が取れていないから撮影できない。そして日中はお互いに衝突する。文句を言い合う。

ロケ現場だけでなく、これは「日中合作」にとって普遍的な矛盾である。言ってみれば、中国人の「柔軟性」と日本人の「計画性」か。前者にはルールが欠け、後者には秩序がある。前者は調整能力に長け、後者はトラブルに弱い。メリット・デメリットは双方に存在する。これを「良し悪し」で判断してしまっては、悲観的にならざるを得ないし、未来は暗くなってしまう。

やはり、いかにこの矛盾を「上手に処理」するかという視点で模索したい。今回のロケ現場では、「加藤さん、この現場は絶対に六時までに終わらせてください。さもないと先方との信頼関係が傷ついてしまう」(日本側)、「加藤さん、ここは絶対に撮りたい、大事なシーンなんだ。今日撮らないと、経費も余分にかかってしまう」(中国側)。こんなやり取りは無数にある。

そのたびに私は頭を抱える。双方の言い分は分かるし、お互いが納得できるよう処理したい。でも現実的に限界もある。「良いドラマを撮りたい」が共通の願いであることは疑いない。ただ、それを実現するうえで、協調し、バランスを取らなければならない難しさがある。「日中合作」とはなんとエキサイティングで、複雑なものか。そう想う日々である。

「人民中国インターネット版」より2009年1月15日

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