昔ながらの暮らしが生きる北京の横町「胡同」(フートン)で、外人さんとすれ違うことが多くなった。古くは13世紀に作られたというこの街並みには伝統家屋の「四合院」が軒を連ねる。中庭を囲んで四方に建物が配されるのでそう呼ばれている。最近はしゃれたレストランに改装された四合院や胡同ツアーが人気なのだが、すれ違う外人さんは観光客だけでもないらしい。どうやら四合院の住民が増えているようなのだ。カナダ人のフランス語教師、マリーさんもその1人。「初めて胡同を歩いた時に、恋に落ちてしまったの。これこそが北京の暮らし。一目で、ここに住みたいと思った」
市内東部の四合院の一角を友人とともに借りている。重厚な瓦屋根の玄関をぬけて迷路のような家屋の間を行くと、マリーさんの家につく。典型的な平屋で、レンガ造りの2LK。小さな庭もついている。「外の喧騒が嘘のような静けさでしょう? ここには昔ながらのゆったりとした時間と空間がある」。憧れの四合院で北京ライフを満喫している。
コミュニティーの大切さを説くのはイギリス人のドミニクさんだ。妻と2人の小さな娘がいる。四合院の敷地には、ほかにも中国の4家族が暮らしているが「チームワークは抜群ですよ。メイドさんがいない時、お隣に娘を預けて出かけることもあるんです」。
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