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就職難をどう乗り越える?百万人の大卒者たち
発信時間: 2009-02-23 | チャイナネット

社会不安を起こしかねないこの問題に対して、教育部(日本の文部科学省に相当)も2009年度の就業対策に乗り出した。その中には、大学院生募集枠の増加、卒業生の西部・農村地区への就業の奨励、10万人の卒業生を農村学校の教師として雇用、例年よりも早い段階で大学卒業生の兵役志願者の選抜、などがある。

中国政府は、例年からの増加分である「51万」を含め、職に就けないといわれる「100万」という数字を如何に吸収するか、知恵を絞っている。

不況下で進路を模索する

「現場」の様子を見てみよう。

2008年11月、武漢市で開かれた大学生の就職説明会場には、5万人の大学生たちが会場に押しかけた

北京大学では、文系を中心に、みな、卒業後の進路を模索している。プライドの高いエリート集団だけに、自分なりの葛藤もあるようだ。一番人気の外資系投資銀行の募集枠は削減の一途をたどる一方、その他の外資、民間、国営を含め、各企業とも大幅に募集人数を減らさざるを得ない状況下にある。

こうした中で、学生たちは「大学院進学」と「公務員試験」に流れているという。前者には「とりあえず不況が落ち着くまで待とう」、後者には「将来が不安なので、リストラのない環境に」という意識が垣間見える。

他の大学の友人に話を聞いてみる。やはり「大学院か公務員」という答えが返ってきた。ただ、すべての学生が大学院に進学したり、役所に入ったりできるはずがない。「僕たちは完全に被害者だよ。どこを受けても採ってくれないし、就職説明会に行っても人が多くて……。地元の小さな新聞社で働くつもりだよ」と、北京のある大学の学生は嘆いた。

この不景気で学生たちが「後ろ向き」「安定志向」「苦し紛れ」になるのは仕方がないのかもしれない。ただ、そんな不況に目もくれず、自らの人生プランを突き進む学生もいる。某外資系投資銀行への就職が決まっている北京大学生は自信満々、こう言った。「不況なんて関係ないさ。すべては自分次第。不況のせいにしていたら何も始まらない」

 

加藤 嘉一

 

1984年静岡県うまれ。現在、日本国費留学生として、北京大学国際関係学院に在籍。学業の傍ら、中国のメディアで、コラムニスト、コメンテーターを務める。『七日談~民間からの日中対話録』(共著、新華出版社)

 

 

「人民中国インターネット版」より2009年2月23日

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