「日本人も中国人も同じ民族。兪麗部長は同じ民族の日本が世界のシンクロで活躍していた姿を見て、きっと中国の選手もこうなって欲しいと思ったのでしょう。日中両国はとても近い国で、アジアの仲間。兪麗部長の申し出を断ってはだめだと思いました。その時、私は日本チームの代表コーチを辞めていたし、クラブのコーチをしているだけだったので、中国に行くことはできた。それにシンクロというのは、芸術性のあるスポーツです。自分の国のシンクロが世界のトップにあり、確たる道を作ってそれを伝えることはとても大切です。中国チームのコーチを引き受け、北京オリンピックで日本のシンクロのあり方をアピールすることができればいいなあと思ったのです」
驚いた日本国民の反応
井村さんが中国チームのコーチを引き受けることを決めると、日本国内には「敵国に日本の技術を売る」「国賊」「裏切り者」と非難する声が。日本の人たちのこうした反応を知った井村さんはとても驚く。「日本でサッカーや野球のコーチは外国人で、日本の選手たちを教えているのに、どうして中国の選手を教えるとなるとそこまで言われなければいけないのか・・・」。井村さんは納得できなかった。
とりあえず他人の言うことは気にせず、「アジアの仲間である中国から力を貸してくださいといわれ引き受けることを決めた以上、みんなが賛成するか反対するかは気にしない」と、自分が人の道に反しているかどうかはともかく、自分の道に反するようなことはしないと決めた。
「チャイナネット」2009年3月2日
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