資料写真
日本において、電車は交通機関というより、都市文化の一部となっている。しかしこのような文化が、時に痛ましさを感じさせる。
『朝日新聞』は7月13日と14日に、東西線早稲田駅および東武東上線練馬駅で起きた人身事故を報じた。事故発生時はラッシュ時間帯で、運行に1時間以上の遅れが生じた。鉄道事業者に大きな経済損失が生じた上、多くの乗客の足に影響した。車内では乗客が、「自殺ピークの7月が到来した」とささやいていた。
日本の公式データによると、2011年末現在、日本の年間自殺者数が14年連続で3万人を超え、1日当たり85人が自殺を選択することを意味している。関連法に基づくと、運行に支障が生じた鉄道事業者は、自殺者の遺産相続人に対して数千万円の賠償金を要求することができる。他者への迷惑を恐れる日本人が、このような多大な迷惑をかける手段により、自らの命を絶っているのだ。しかも通勤・退勤のラッシュ時、乗客が多い駅での飛び降り自殺が多い。
東京都内の各駅で1日内に自殺が相次ぎ、同日の東京の交通が全面麻痺に陥ったことがある。彼らは最後の命を使い、自殺を社会的な事件とし、現実世界に対する絶望を現実社会への復讐に変えた。
自殺大国という現状に対して、日本政府も手をこまねいている。東京都内の改築された地下鉄のホームには、防護柵が設置されている。また一部の駅では、電車が停車する地点に壁や柵が設置しており、自殺を未然に防ごうとしている。日本政府は2007年に『自殺対策基本法』を制定し、2010年9月には『自殺対策推進室』を設置した。各地が自殺対策を強化しており、民間組織も積極的に参入し、電話相談窓口や心理カウンセリング等の自殺防止サービスを提供している。しかしこれらの措置により根本的な問題が解消されることはなく、大きな成果が得られていない。
「欠陥美」を追い求める日本社会の特徴が、高い自殺率の原因の一つとなっているのではないだろうか。日本はこだわりを求める国であるが、味深長で趣深い「美」の定義を持っている。例えば有田焼は代表的な民間芸術だが、故意に穴や割れ目を作ることで、この世に二つとない命を吹き込んでいる。また日本人は満開の桜よりも、散りゆく桜を愛でる。心の中に深く根ざした「欠陥美」を愛でる価値観により、日本人の生死の境があいまいになっているのではないか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年7月16日