香港紙『アジア・タイムズ・オンライン』7月18日付の記事 南中国海の情勢が益々緊迫する中、中国が東側で直面している圧力も日々巨大化している。近日の中日の一連の島嶼をめぐる紛争は地域と世界の勢力バランスが変化しつつあることを示している。
釣魚島をめぐる紛争が発生したタイミングを考えると、何かの目論見があるように感じられる。中国とフィリピン・ベトナム間の南中国海における衝突が悪化の一途を辿る中、日本はこの肝心な時期を狙って、中国側にプレッシャーを与えようと考えている可能性があり、同じように中国の経済と軍事力の影響を受けているアジアの隣国と手を結ぶことを狙っている。
しかしながら、そのような策略は間違ってはいないだろうか。中国は従来から、多国間の枠組みによって南中国海での紛争を解決することに反対してきた。また東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも、南中国海問題に対する見解にはずれがある。中国の同盟国であるカンボジアはASEANが一体となって中国と対立することに反発している。更に、ベトナムとフィリピンの間でも南中国海をめぐっては対立がある。
注目したいのは、釣魚島問題の対立を今日まで深刻化させたのは、中国側ではないということである。日本政府の地政学的戦略と政治的な企みが、火に油を注ぎ、中国政府は否応なしに行動に出るしかなかったのである。
そして、対立が表面化することによるデメリットは、将来性のあるメリットよりも遥かに多い。世界経済が減速し続ける中、中日両国は互いの市場に頼って生き延びる必要がある。二国間貿易と投資がもたらすメリットは海洋天然ガスや漁業資源がもたらす利益よりも大きな価値がある。また、日本の野心は歴史問題に縛られる。日韓軍事協定の署名が延期された主な原因は、日本の植民地主義が残した歴史的な爪あとが未だに韓国で非難されているからである。フィリピンやベトナムとの対立がある中、中国は好戦的であると思われるかもしれないが、中日間で衝突が勃発すれば、地域の中で日本が同情を得るのはさらに難しいだろう。
衝突が発生することは中国の利益にそぐわないが、中国政府が領有権をめぐる対立において引くことは断じて無い。アメリカのアジア地域に対する思惑も、中国は極めて警戒している。海洋での紛争において、公式に日本の言動を支持するアメリカのいかなる動きも中国の内政干渉に当たり、それにより中国大陸と台湾の関係が近づく可能性もある。日韓軍事協定の失敗によって、地域のナショナリズムが地政学的な利害関係に勝ることは既に証明済みである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年7月18日