従って、釣魚島問題における日本の態度は短期的に大きく変わることは無いだろう。双方の見解の食い違いは激しさを増し、なかなか妥協点が見つからない。だが、釣魚島問題だけが中日関係の全てではないことくらい、日本の政治家たちも分かっているはずである。ここでいつまでも騒ぎ立て、中日関係にひびが入れば、日本のダメージは中国のそれより遥かに大きいものになる。
また、中日両国の貿易額は今年の上半期だけで1383億ドルに達する膨大なもので、これも両国が大きく衝突しない原因の一つとなっている。この貿易を失うことはお互いにとってかなりの痛手となる。もし今回の件で中日両国が対立するようなことになれば、日本が受ける経済的ダメージは計り知れないほど大きなものとなる。なぜなら、低迷する日本経済にとって巨大な中国市場は何物にも代え難い生命線となっており、中国への輸出によって日本経済は何とか維持できている状態なのである。
一方、中国にとって今回の釣魚島をめぐる紛争の再来は、そのタイミングが悪かった。地理政治情勢において劣勢にある中国は、短期的な平和のために日本の攻勢に屈することはできず、かといって武力行使もできない。従って、釣魚島の危機は、中日関係の発展にとっての試練であり、同時に中国上層部の政治手腕を試す難題であり、なんとも厄介で高度な外交手段を必要とする大きな政治的駆け引きと言える。(文=陳光文)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年7月19日