文=コラムニスト・陳言
客観的に見て、日本の社会は非常に安定している。小学校の入口では子供の送り迎えをする保護者の姿が見られず、商品を購入する際も虚偽の表記を恐れる必要がなく、有害な食品・用品を心配する必要もない。ほぼ全国民が健康保険・失業保険・年金保険に加入しており、自ら堕落を選択しこれらの制度に別れを告げるのでなければ、日本人の生活は非常に安定していると言える。
日本ではデモ活動をめったに見かけない。米国のエリートがウォール街で大々的なデモ活動を実施し、欧州の青年がデモ行進をする中、日本はひっそりと静まり返っている。このほど原発の再稼働問題により、十数万人が首相官邸を取り囲み抗議を行ったが、市民と警察の対立や衝突は生じなかった。
デモの際にも、日本人は秩序を重んじる。潮のごとく溢れかえるデモ隊の中にも、化粧をせずに飛び出してきた女性の姿を目にすることはない。毎週午後5時に集会を開き、6時前に解散するが、6時以降になると参加者がゴミを持ち帰るため、大勢のデモ隊が集まった形跡が残らない。
日本人は礼儀正しく、政治活動に参加する時もそれは変わらない。この点から論じれば、日本人は安定的な生活に安んじ、とても幸福であるはずだ。
しかし現実はまったく異なっている。世界で最も豊かな36カ国により構成される経済協力開発機構(OECD)のうち、日本人の幸福感は21位、生活満足度は27位にとどまっている。