東京都は7月27日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに「アメリカのみなさまへ」と題した意見広告を掲載した。東京都は米国の有力メディアを釣魚島の主権を主張するプラットフォームに選び、米国のアジア太平洋における利益と釣魚島問題を結びつけている。また、米国の民衆の中国に対する不満を煽り、民意を利用して米国政府の中国対抗への動きを促そうとしている。
東京都が太平洋の対岸まで行って米国に支持を求めるのはなぜだろうか。その理由は簡単だ。米国は民意を重視する国で、マスコミの世論を導く力も大きい。そのうえ、米国は次期大統領選の最終決戦に入り、中国要素が候補者の票集めでテーマになることは避けられない。石原氏らとぐるになる政治家が現れれば、波乱が起こる可能性もある。東京都の意見広告を出すという時宜を得た手段は、巧みで深い意図があるといえる。
石原氏らが民意を煽って米国の中国対抗を促すことは本当に可能かといえば、無理だろう。
中米間の交流と認識の高まりに伴い、中米関係は「21世紀の最も重要な二国間関係」になった。両国も相互尊重、互恵・ウィンウィンの協力関係を築く努力をし、両国国民の間の相互理解も徐々に高まっている。米華人団体「百人会(Committee of 100)」の調査によると、米国の民衆の多くが自国に最も重要な国は中国だと考えている。日本は3位だった。双方の相手国に好感を持つ民衆は55%を超え、中日間の好感度を大きく上回った。
そのほか、絶対優位を維持する軍事力、あらゆる試練に対する抑圧・攻撃力は、米国が「アジア太平洋回帰」を続け、地域の戦略的主導権を獲得する基礎である。ところが、同地域における自国の現在と長期的な経済利益を守ることが米国の行為規範であり、中日間の領土争いに巻き込まれれば、米国はこれらの利益を損うことになる。また、財政難からの脱出を急ぐ米国にとって、中国からの支持は特に重要である。中国は数カ月続けて米国債を持ち越し、保有高は引き続き日本を超え、1兆1700億ドルに達した。発展・安定している中国経済は米国の利益に更に合っている。
石原氏の釣魚島問題を国際化する企みは、世界から支持されない。メディアの報道によると、東京都は2020年のオリンピック招致に力を入れており、それにはアジアの国際オリンピック委員会(IOC)委員からの支持は不可欠だ。しかし、一部のアジアのIOC委員は近ごろ、「東京都知事の発言は面倒を引き起こす」と批判し、石原氏は黙るべきだと考える委員もいる。また、ある委員は、「東京都知事はまだ島のことを言っているのか。周辺各国が支持しなければ、その他の国の委員からも支持されない」と批判した。
「米国が中国と対立のあるアジア諸国を支持しなければ、米国は太平洋全体を失うことにもなりかねない」という驚くべき言い分は、石原氏らによる米国の民意を無理やり引き込み、脅す言論である。米国は過去に太平洋全体を失いそうになったことがあるが、追い出そうとしたのは他人ではなく、昔の日本の軍国主義者だった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年7月30日