円高の進行により、海外で販売される日本製品の価格が高騰し、日本の輸出に深刻な影響をおよぼしている。政府は円高の抑制を行なっておらず、日増しに高まる批判の声にさらされている。
アナリストと一部の政治家は、単純だが重要な原因が見落とされていると指摘した。円高が急増する高齢者に利益を与え、その他の日本人の利益を損ねているというのだ。
円高の進行により、安価な輸入製品が日本市場に進出している。これを受け、日本国内の商品・サービスの価値が下がっており、デフレが生じている。デフレは、退職した高齢者の退職金と貯蓄の価値を高めている。多くのエコノミストと政治家は、「円高に対する無策は、新たな政治的現実を反映している。優柔不断な日本のリーダーは、選挙の票集めという見地から、団塊の世代の退職者を刺激したくないのだ」と指摘した。
早稲田大学経済学部教授の原田泰氏は、「政府の円高とデフレに対する我慢は、世代間の対立から来るものだ。現在は高齢者が勝利を収めている」と述べた。エコノミストは、「この勝利の代価はあまりにも高くつく。日本企業は海外に移転せざるを得ず、その結果産業の空洞化を招き、20年間に渡る経済低迷をさらに深刻化させる。この勝利により、巨額の貿易黒字を生み出す業界を損ねることだろう。貿易黒字がなければ、日本人の比較的快適な生活水準を維持することはできない」と警鐘を鳴らした。
円高進行の逆転は容易なことではない。現在の世界マクロ経済情勢もまた、円高の進行を支持している。多くの専門家は、「日本政府が本国経済を振興できない原因は、高齢者に対する配慮だけではない」と述べた。