本年、日中国交正常化40周年を迎え、日本の私立大学を代表する早稲田大学に最先端研究機関として、中国とのこれまでの交流の歴史、またこれからの展望などを早稲田大学内田勝一副総長に伺った。
早稲田大学は、世界300校を超える大学(2012年7月現在)と留学制度があり、また、デュアルディグリープログラムなどで中国の大学とも密接な交流を進めている。
中国網:こんにちは。まずは中国と貴大学のこれまでの交流について伺います。
現在、中国に来ている早稲田大学の学生、教員の人数、学んでいる分野はどのような傾向があるでしょうか?
内田勝一副総長(以下、敬称略):早稲田大学は、早くも1893年には海外から学生を受け入れ、戦前の最も多い時期には学生の20%以上が中国、韓国などからの学生で占められていました。特に中国からの留学生が多数を占め、李大釗、廖承志などの中国の近代化・日中関係に大きく貢献した方々を輩出してきました。昔の中国の教科書では李大釗を中国共産党の創設者の一人として取り上げた際、必ず早稲田大学で学んだことが紹介されることや、同じ早稲田で学んだ廖承志が戦後日中国交正常化にご尽力されたこともあり、早稲田の名前は中国の方々によく知られるようになりました。このような中国との歴史的な絆のおかげで、こうした早稲田で学んだ優れた先輩に憧れ、優秀な中国の学生が多数本学にて学ぶようになっています。
1982年、北京大学との大学間協定を皮切りに、2012年において、中国の大学との協定は、大学間で46校、学部・研究所単位による箇所間協定は108にまで及んでいます。現在では、日本の大学の中でも、最も多くの中国からの学生約4200名を早稲田が迎え入れることに至っています。また、このような中国と早稲田の深い交流実績が、例えば、江沢民国家主席、胡錦濤国家主席が、日本への国事訪問の際に、本学にてご講演されたことにも象徴されたといえます。
また、早稲田大学からも毎年約400名以上の学生が中国で学んでいます。長期で中国へ留学する学生は、ジャーナリズム、国際関係、経済、文学、社会などの文科系を中心として幅広い分野に渡ります。理科系では、早稲田大学は中国の大学と様々な共同シンポジウム、共同研究プログラムを実施しており、ロボット、環境、ナノテクノロジー等の分野を中心として、短期訪問を重ね深い交流を行っています。早稲田と中国との間で行われている共同研究のために、毎年多くの教員が両国間を行き来し、交流が行われています。