近頃の日本と中国・韓国・ロシア間の島嶼の領有権をめぐる紛糾が、東アジア地域の安全問題の焦点になっている。その上、事態は益々加熱する傾向にあるようだ。中国側の「主権在我、擱置争議、共同開発(主権が中国側にあることは論争の余地がないことであるが、言い争いは一時中断して共同開発を進める)」という政策は既に、日本側の賛同を得るのが難しく、すぐさま調整する必要がある。釣魚島の主権の帰属問題に関して、中国は島へ上陸しての宣言・抗議活動、海洋監視体制の強化以外にも、外交面での支援を得る必要がある。中でも中国・韓国・ロシアが手を結び、島の領有権保護を行う「統一戦線」を構築することは、釣魚島に対する中国の主権を守るための新たな策である。
中韓ロの三カ国が「島の領有権保護で連携する」ことは、法的に見ても、歴史的に見ても十分な根拠がある。中韓ロはいずれも軍国主義下にある日本の侵略を受けており、中国の釣魚島、韓国の独島、ロシアの南千島群島の主権の帰属は、第二次世界大戦の終結後に決められたものである。日本は第二次世界大戦で決まった約束事を覆すことに躍起になり、島の領有権をめぐって、中国・韓国・ロシアと対立することを止めず、事実上の「四面楚歌」に陥っている。過去の境遇と現在の情勢によって、戦後の取り決めを守るために、中韓ロが手を結ぶ可能性は高まってきている。
いわゆる「戦略的連携」とはつまり、長期的な国の根本的利益或いは核心利益を視野に入れて、国と国とが協力することである。中国と韓国は2008年に、戦略的協力パートナーシップを結んでおり、「小異を残して、大同を求める」ことで合意している。現在の島嶼の主権帰属問題において、中国と韓国は第二次世界大戦後に確定した結果を守ること、国家の領有権を保護すること、日本政権が右翼に傾くのを抑止することなどに関して、「大同を求める」という立場で、意見が一致している。ロシアに関しては、1996年には既に戦略的協力パートナーシップを樹立しており、長年の努力の成果もあり、パートナー関係は既に強固で揺ぎないものとなっている。中国と韓国、中国とロシアの戦略的パートナーシップは三カ国が「島の領有権保護で連携する」ための戦略的基盤を構築したと言える。
中韓ロが「保島統一戦線(島の領有権保護のための統一戦線)」を構築するに当たって、大きく、いくつかの段階に分かれる。第1段階、専門家らによる研究・討論。中韓ロ各国の、或いは二国間や三国間の専門家や学者らで、多方面に渡って問題を検討し、意見交換を行うことで、法的観点から日本が主張する島嶼に対する主権が不正であることを指摘し、反駁する。第2段階、世論によるアピール。中韓ロがそれぞれ、国際社会に対する主張を更に強化し、日本との間に主権の帰属問題がある島嶼に関して、中立的な立場を取ることを止め、島嶼問題の報道では一律、「釣魚島」「独島」「南千島群島」の呼称を使用し、日本側の上記三つの島嶼に対する呼称を併記しないことで、中韓ロが島嶼の主権帰属問題に対し、互いを支援するという立場を明確に示す。第3段階、政府間の協議。中韓、中ロ間でまず、定期的な協議の枠組みを確立し、島嶼の領有権保護に対する共通認識を固める。そして、三カ国間で具体的な協議を行い、「島の領有権保護での連携」における統一した行動を起こす。
(作者:アジア太平洋学会朝鮮半島研究会委員・王林昌)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年8月27日