日本政府は釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題について、「領有権問題は存在しない」との原則を堅持しつつ、中国側の領有権主張を「認識している」との立場を示す妥協案を検討している。共同通信の10日付記事を新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
共同通信の記事によると、この妥協案によって日本政府は領有権の主張を変えることなく、領有権争いの存在を認めるよう求める中国に配慮することができる。だが、こうした立場を示しても、中国側が受け入れて関係改善の行動をとるかどうかは不透明だ。日本政府は中国側の今後の姿勢を慎重に観察した上で、妥協案を示すかどうか決める方針だ。
中国は釣魚島の国有化の撤回を強く要求してきたが、日本側は一貫して拒否した。こうした中、賈慶林・全国政協主席は先月末に訪れた日本の友好団体に「日本側は釣魚島係争の問題を正視すべきだ」と述べた。
日本側はこの発言について、国有化の撤回を求めるという原則的立場を堅持しつつ、当面は「領有権争いの存在」を日本側に認めさせることを目標に設定したと分析。この判断に基づき、対立緩和策の検討に着手した。
妥協案の検討において日本政府が参考にしたのが1972年の日中共同声明。中国はこの声明で「台湾は中華人民共和国領土の不可分の一部」と表明したが、日本は「中国政府のこの立場を十分理解し、尊重する」とのみ表明し、台湾の帰属に関する見解は明確にしなかった。
釣魚島問題で、中国の主張を「十分理解し、尊重する」と表明した場合、「領有権争いの存在を認めた」と誤解される恐れがある。このため日本政府は「認識している」との表現を使い、基本的立場との矛盾を回避することを検討している。
「人民網日本語版」2012年10月10日