中日の釣魚島問題および同問題における米国の立場が近ごろ、メディアに頻繁に取り上げられている。中には、釣魚島問題は米国が引き起こした陰謀であり、米国は東アジア経済一体化をぶち壊し、自身が唱える「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」を発展させることを目的としていると分析する国際オブザーバーもいる。これは一つの独特な見方といえる。中日間の釣魚島をめぐる争いが悪化し続けている状況を見ると、東アジア経済一体化の先行きは確かに楽観視できないが、TPPがこれによって発展するかといえばそうでもない。
まず、TPPの参加条件が高く、参加国の発展レベルに差があることから、多くの問題はなかなか妥協点に達せずにいる。TPPには米国のような世界で最も経済が発達し科学技術レベルが高い国もあれば、ベトナムやチリのような工業の基盤が弱く科学技術レベルが高くない発展途上国もあり、発展レベルの差の拡大が大きな障害となっている。
また、米国が提唱するTPPには深い政治的な意図があり、アジア諸国が望む地域経済統合の強化と逆で、アジア経済一体化の主導または妨害を目的としている。TPP交渉は米国を中心とする「車軸と補助輪」の構造となっている。中国はアジアの貿易の中心で、日本や韓国、ASEANの最大の貿易相手だが、TPP参加国ではない。米国は中国をTPPから排除しない声明を何度も出しているが、現在の条件で中国が参加を申請すれば、国内の一部の戦略的産業の発展に不利になる。日本や韓国などのアジア諸国は、自身の未来が中国経済の発展、中国との緊密な経済協力関係の構築にかかっていることをよくわかっている。