中国で12月13日、南京大虐殺犠牲者のための国家追悼式典が行われた。これに対して日本のマスコミの論評は、現実に目を向けず、中国の対日政策について憶測をめぐらすものばかりであった。安倍内閣はこの国家追悼式典に対して誠意ある姿勢を一切見せず、この間のマスコミや政治の話題はもっぱら衆議院選挙であった。
安倍は「大義」のない衆議院解散を独断で行い、選挙投票日をあえて12月14日に選んだ。安倍がこの日を投票日とした背景には、中国の国家追悼式典の日本への影響を封じ込めようとする狙いがあったことは想像に難くない。もっと言えば、日本の世論で反戦の正義や平和を求める声が高まることを阻止し、集団的自衛権の関連立法に反対する空気が広がるのを抑えるためだ。安倍はなんとしても憲法改正を実現したいのである。
▼歌を忘れたカナリア▼
これに対して日本のマスコミはまるで“歌を忘れたカナリア”のように沈黙したままであった。14日の全国の新聞各紙で、この式典を一面や社説で取り上げたところはほとんどなく、まるで“自制”したかのように、わずかに紙面の片隅で報じただけだった。論調までも、まるで申し合わせように習近平国家主席の講演内容に関する解釈ばかりであった。