森口さんは、「日本の歴史教科書は南京大虐殺を世界史や人類史のレベルで取り扱っておらず、その印象を薄れさせ、消し去ろうとしている。まるで抗日戦争中に起きた不幸な出来事であったかのように見える。少なくとも多くの日本人はそのように認識している」と認めた。
高校で20年間歴史を教えている小松さんは、高校歴史教科書の検定作業に加わったことがある。小松さんは南京の歴史の授業が、偏狭なナショナリズムにより憎しみを引き継ぐのではなく、「戦争反対」、「平和を愛する」を出発点としていたことを喜んだ。
小松さんは日本の歴史教育が直面している環境について、懸念を深めている。「日本の右翼勢力が気炎を上げており、歴史修正主義が大手を振るっている。教師が教室内でこれらの内容を隠し立てせず教えることが困難になっており、一部の教師も疑問視し始めているほどだ。戦争の影の中にいる次の世代が、積極的な心で中国の若者と交流できるか疑問だ」
小松さんは、「良心・良識・正義感のある歴史教師として、今後の教育の中で生徒に対して、いかに戦争から遠ざかり、平和と共生していくかを考えさせるべきだ」と述べた。
森口さんは、「当時の出来事をありのままに再現するのは困難だが、出来る限り力を尽くす。私は資料、写真、証言の映像などを使い、学生に歴史資料を読ませ、戦争および南京大虐殺の惨劇が発生した深い原因について独自に思考させたい」と話した。
南京の小中学校の「国家追悼読本」を手にしたばかりの、法政大学中学高等学校副校長の米山宏史さんは記者に対して、「南京大虐殺犠牲者国家追悼日の設立を、日常的な教育内容に盛り込む予定だ」と述べた。
歴史教育者協議会元会長の石山久男(78)さんは、「日中両国の国民の間には、確かに歴史認識の差、感情の隔たりがある。歴史教育の最前線で働いている者として、東アジアの平和、人々の友好交流の重責を担う次の世代の育成のため小さな実践をし、微力ながら貢献していきたい」と語った。
中日の歴史教師は、各自の教科書や資料集などを交換した。
いかに歴史を教えるべきか?どのような態度により過去を振り返り、未来を見据えるべきか?南京の初の傍聴活動により、日本の教師らは共通認識を形成した。歴史教育は、歴史の真相を教え、守ることだ。今日の歴史に接する方法は、知らぬ間に未来に影響を及ぼし、明日の「歴史」の一部分になる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年12月31日