米隔月誌『ナショナル・インタレスト』(電子版)は8日、「日本の10式戦車、なぜこれほどすごいのか」と題する記事を掲載した。要旨は下記の通り。
日本防衛省の科学研究機関、技術研究本部は2002年より、第4世代主力戦車の10式戦車の研究を開発した。この戦車は大型の90式戦車を補完し、30年の歴史を持つ74式戦車の後継者となることを目的とした。
10式戦車は小型戦車で、高い戦術・戦略機動性を持つ。日本の大半の道路はセダンやトラックの走行に適しており、山間部には重量制限が明記されている橋が多い。また日本は法律で、大型車両(陸自の戦車を含む)の道路走行を原則的に禁じている。開発者は10式戦車を、法的基準を満たし道路上を走行できる小型戦車にした。軽量かつコンパクトで、民間用の車両向けに作られたトンネルを通過できなければならない。これにより10式戦車は、空輸と水運にも適している。
10式戦車は高速で高い機動性を持つ戦車だ。1200馬力の水冷4サイクルV型8気筒ディーゼルエンジンを使い、ウエイトパワー比は27馬力/トン。これは主力戦車にとって高速と言える。道路走行中の時速は43マイルに達し、バックでも同等の速度に達する。
10式戦車の装甲は90式戦車から改善された。10式戦車の自重は40トンで、MIエイブラムスの60%のみ。ボルトで付加装甲を追加すると8トン増加する。装甲はセラミック複合材。装甲のモジュール化、代替性、高いウエイトパワー比により、10式戦車の走行は対戦車ミサイルが発展した後も一流の性能を維持できる。
装甲の他に、この戦車にはレーザー検知装置が取り付けられている。レーザー誘導ミサイルの照射を浴びると、これが乗員に警報を出す。この装置は発煙弾発射機と連動しており、敵のレーザーを検知すると自動的に煙幕を張り、戦車を守ることができる。
主要武器は日本製鋼所が開発した120mm滑腔砲だ。自動装填装置を採用しており、人の手で装填する必要がない。この滑腔砲は密林地帯を通過する際の安全性が高く、将来的には55口径の大砲に改装できる。10式戦車には昼夜を分かたず360度を観察できるスコープがある。
10式戦車の最も興味深い点はネット接続能力で、戦場でワイヤレスネットワークを構築できる。この指揮・制御・通信・コンピュータ・情報(C4I)システムに関する情報はあまり知られていないが、歩兵を中心とするネットワーク通信システムと接続できるという。10指揮戦車は同システムと、360度のスコープで得た情報を共有できる。
さらに注目すべきは、10式戦車が採用しているパッシブ油圧サスペンションだ。これにより安定的に走行でき、走行中の攻撃の精密度が大幅に高まる。さらに「ローライダーカー」のように姿勢を調節し、地形に応じて左側・右側・前方・後方を高くすることができる。このサスペンションによって10式戦車は地形変化を十分に利用しながら身を隠し、前方の標的に攻撃を仕掛けることができる。
日本の武器輸出緩和は、10式戦車が日本の歴史上初めて輸出される戦車になる可能性を意味している。しかし性能が近く経験を積み重ねているMIエイブラムスやレオパルト2などの戦車に勝る点は少なく、海外で大成功を収める可能性は低い。海外で成功するか否かはさておき、日本は国産主力戦車の開発に巨額の経費を投じ続けるだろう。