芥川賞受賞作「火花」の中国語版の発売セレモニーが12日午後、上海の建投書局で開催された。作者で日本のお笑い芸人の又吉直樹さんは今回初めて中国を訪問し、中国語の翻訳者として日本で活躍する中国人作家・毛丹青さんと一緒に、「火花」について語り合った。人民網が報じた。
純文学小説である 「火花」では、売れない芸人・徳永が、奇想の天才で、強い信念を抱く先輩芸人・神谷と電撃的な出会いを果たす。二人は、現実と理想の間で、理解し合い、励まし合いながらも、最終的には別々の道を歩む。又吉さんは、自分の芸人人生をそこに盛り込みながら、文学のスキルを巧みに用いて、あまり知られていない「漫才の世界」を描いている。
「火花」は又吉さんの処女作で、2015年に文學界の2月号に掲載され、同年夏に第153回芥川龍之介賞を受賞した。現在までに発行部数が300万部を突破しており、芥川賞受賞作としては最多の発行部数になっている。また、ドラマ化されたほか、映画版も今年3月にクランクインし、11月に公開される予定だ。「火花」の中国語版は人民文学出版社から刊行され、毛さんが翻訳し、相声(日本の漫才に相当)で知られる中国のコメディアン・郭徳綱(グオ・ダーガン)が前書きを書いた。
発売セレモニーで、又吉さんは数百人の中国の読者と交流を深め、会場は熱気に包まれた。「火花」を書こうと思った理由について、又吉さんは、「小説を書く時は、人と人の関係を描きたいと思っている。お笑い芸人を17年間しているが、この業界の先輩と後輩の関係はとても独特で、それを題材にしたいと思った」と説明した。
毛さんは「火花」について、「読者との距離を縮めてくれる。登場する居酒屋や汚い舞台裏などは、私たちも普段の生活で見ることができるもの。彼が小説の中で描いている理想と現実、夢と挫折、男性と女性など全ての要素も、私たちも理解できるもの」と評価した。
又吉さんは今回、初めて中国を訪問し、「火花」の中国語版発表会に出席したほか、上海の花園飯店で講演会を行うほか、毛さんとの対談も行う予定だ。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年6月14日