(一)日本の判断によると、中国は陸海複合型国家として近年、陸権を通じ国益を守ると同時に、海と空の実力を発展させ日本を追い抜いている。中国の軍艦の更新が続き、軍事演習の頻度が増し、活動範囲が拡大を続けている。日本の釣魚島(日本名・尖閣諸島)に対する「実効支配」を脅かし、日本の航路の安全に影響を及ぼし、さらには日本のシーレーンの「脅威」を形成するというのだ。
(二)今月上旬の安倍内閣改造後、各大手メディアが実施した世論調査によると、支持率が大幅に上昇している。共同通信を例とすると、支持率は前月比8.6%上昇の44.4%となっている。しかし安倍政権による改憲に反対は53.4%で、賛成は34.5%。改憲の必要性と切実さを理解するよう国民を説得することが、安倍首相にとって「政治の宿願」である改憲を実現する上で鍵となる。「中国の脅威」の喧伝が、この宿願を遂げるための効果的な手段であることは間違いない。
(三)海洋強国の実現は、日本の国家総合戦略の主な内容だ。この戦略を実現するため、日米同盟を主軸とし、日本の勢力と国際的な影響力を世界の各主要海域まで拡大する。最終的に日本の国家安全、経済利益を確保する海洋総合安全保障体制を構築し、既存の米日主導の東アジア海洋秩序を維持する。日本はこうして、西太平洋の海上強国として再び台頭する。「中国の脅威」の喧伝は、米日同盟の強化、同戦略の実現を促す。
「互いに脅威にならない」という前提がなければ、「互いに協力パートナーになる」が確かな基礎を失うことを強調しておこう。そのため日本が本当に中日関係を改善し、一帯一路に参与しようとしているならば、隣国を敵視する戦略方針を変えなければならない。習近平国家主席が指摘した「中日友好事業は両国と両国民にとって有利であり、アジアと世界にとっても有利であることは、歴史が証明している」に心から賛同し、「互いに協力パートナーになり、互いに脅威にならない」を一体化させる必要がある。(筆者:馮瑋 復旦大学歴史学科教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年8月10日