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japanese.china.org.cn |23. 08. 2017

日本物語(十五)輪王寺で触れる仏教文化

タグ: 日光山 奈良時代 神橋 



 轮王寺

 日光山のふもとの峡谷にはアーチ型の木橋がかかっている。長さ28メートル、幅7.4メートルで、朱色に塗られ、急流の上に高くかかった様子は、まるで虹がかかったようでもある。

 奈良時代にはこの「神橋」はすでに、仙人の手中の赤い蛇が橋となったのだとして崇拝され、後には「山菅の蛇橋」とも呼ばれた。1999年にこの神橋は世界文化遺産に登録され、日本で現存する唯一の古橋となっている。

 この谷を越え、泉によってできた曲がりくねった道を登って行くと、天台宗輪王寺に着く。天台宗は、中国から伝わった仏教の十三宗の一つであり、開祖である智ギが天台山で修行したことからその名がついた。「法華経」を教義として信奉し、唐中後期に日本に伝わった。

 日光山中のこの輪王寺は奈良時代に建てられたもので、当時は四本竜寺と呼ばれた。日光の信仰界における開山の祖と言える。

 その後、天台宗が日本で定着し、地位を確立した後、輪王寺と改称された。さらにその後、徳川家康の影響から、輪王寺は東照宮に組み込まれ、神道寺院となった。

 19世紀の明治元年に神仏分離令が実行されて初めて、東照宮から分離された。すでに晩春の季節だったが、輪王寺に入ると、桃色と赤色の桜の木が燃えるように咲き誇っていた。

 桜の木の下には石碑が立っていて、巨大な「心」の字が目を引いた。字の横の落款から、その字が中国の郭沫若氏の筆によるものだということがわかった。郭氏の碑が中国にだけあるのではないと知って喜んだ。

 輪王寺の中央にあるのが巨大な三仏堂である。高さ26メートル、長さ32メートル、幅25メートルの三仏堂は、日本最大の木造建築でもある。

 堂の下の香炉からはゆらゆらと煙が立っている。青銅器からあふれた香の煙は桜の木の方へとさらに上昇し、頭上の雲と合わさって、どこまでが雲でどこまでが煙なのか分からなくなってしまった。


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