日本企業が短期間内に拠点の一部を中国市場から撤退させることはないが、中国での人件費急騰を背景に一部が国内回帰する可能性がある。ブルームバーグが23日に伝えた。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の約3000社を対象に実施した年度調査によると、拠点移転を実施または実施予定のうち、中国から日本への移転が8.5%となった。日本から中国は6.8%とさらに低め。日本への移転が上回ったのは、ジェトロが2006年度に同調査を開始してから初。
明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは、拠点の日本回帰の主因について「中国の人件費上昇により、ベトナムなどの東南アジアにシフトするか、日本に回帰している」と指摘した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は「人件費の格差縮小のほかに、日銀の金融政策による円安も原因だ。円は人民元に対して2013年始めから約15%下落しており、企業は日本からの輸出にシフトしている」と述べた。
自国での雇用機会の増加は、日本経済にとって朗報だ。しかし今後も多くの企業が、海外に生産をシフトしようとしていることにも注意が必要だ。安価な労働力、潜在力を秘めた市場は、高齢化が進む日本にない要素だからだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年8月24日