NPO法人日本翻訳家協会は20日夜、第54回日本翻訳文化賞及び第53回日本翻訳出版文化賞の表彰式を東京都千代田区の学士会館で開催し、日本各地から来た翻訳家や出版界の関係者が参加した。人民網が報じた。
日本で活動する中国人学者・時衛国氏は、翻訳した「立原正秋選集」(全6巻。2014年。青島出版集団刊)と「渡辺淳一選集」(全8巻。2017年。青島出版集団刊)が評価され、翻訳特別賞を受賞した。翻訳家協会は、「時氏の翻訳は原作に忠実で、原作の作風をうまく反映しており、優秀な翻訳文学作品」と評価した。同協会が設立して以降、「翻訳特別賞」を中国人翻訳家が受賞したのはこれが初で、アジアの学者が受賞したのもこれが初めてだ。
時氏は、山東大学外国語学院日本語学部を卒業後、同校の教師になり、その後1988年に日本に留学して、言語文化学の博士号を取得した。現在、国立の愛知教育大学で日本語教育講座の教授、大学院の日本語分野の主審教授、教育研究評論員、教授代表議員などを務めている。さらに、日中対照言語学会の理事、常任理事、国際連語論学会の理事、常任理事なども務め、2004年には山東大学の客員教授も務めた経験がある。
時氏は日本で29年活動し、これまでに著書や訳書は約20作を数え、中日対照言語学著作賞(カシオ学術賞)や公益信託田島毓堂語彙研究基金学術賞(田島毓堂賞)などを受賞した。代表作には、「中国語と日本語における程度副詞の対照研究」、「中国語の程度表現の体系的研究」などがあり、学界で好評を博した。
日本語にも、漢字を使った言葉がたくさんあるものの、中国語と日本語は体系が異なるため、日本と中国の社会、文化、歴史にも大きな違いがある。そして、翻訳も難しく、業界関係者にしか分からない難しさがある。時氏は典型的な学者型翻訳家で、豊富な学術的知識を持つと同時に、豊富な翻訳経験を誇る。
今回、翻訳特別賞を受賞し、時氏は取材に対して、「中国人初の受賞は、日本の翻訳界が中国人翻訳家の業績を非常に重視していることを示している。この賞は、文化交流を促進する点でも貢献するだろう。文化にはコミュニケーション、融合が必要で、翻訳はその第一線を歩んでいる。外国の素晴らしい作品を自国に紹介し、自国の作品を外国に紹介すると言うのは、時代の流れと要求でもある」との見方を示し、今後について、「翻訳の仕事を続けたい。これは、日本翻訳家協会の期待であり、私個人の願いでもあり、国内外の市場が願っていることでもある。日本の素晴らしい文学作品を中国に紹介すると同時に、翻訳交流の過程で、若い翻訳家を育成したい」と抱負を語った。(編集KN)