芸術系大学が「ルート」ではない日本で一人前の役者が育つ方法

芸術系大学が「ルート」ではない日本で一人前の役者が育つ方法。今年も芸術系大学がとても人気で、受験生が長蛇の列を作り、彼らに付き添う保護者もおり、試験官の真剣な指摘、先輩らのバックアップなどが「風物詩」となっている…

タグ:芸術大学 俳優 演劇

発信時間:2018-03-09 10:24:08 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

一方、中国の場合は、マネージメント会社や芸能プロダクションが大学にまで足を運び、在学中に契約を結んでいる学生も多い。そして、1、2年生で映画・ドラマに出演するようになり、3、4年生でもう主役を演じるようになっているというケースもある。あまりにも早く有名になり、スターになるという状況は、日本で役者が育つ環境とは全く異なる。では、日本の若手役者は、どのような市場環境の下で演技の腕を磨いているのだろう?

李氏によると、「日本の若者が役者になる主な目的はお金儲けではない。そのような若者は役者の道に入る前に相応の心の準備をしている。市場の波の中で方向を見失わないのは、日本の役者業界の生態と役者自身の信念とも関係がある。日本では、トップスターであっても、その出演料は中国の役者と比べるととても少ない。例えば、今最も旬の女優・新垣結衣が出演する視聴率の高いドラマでも、1話あたり約10万元(約168万円)ほど。そのため、多くの若者が役者になりたいのは、大スターになりたいからではなく、役者の仕事が本当に好きだからだ。そのため、彼らが一番大切にしているのは演技そのもので、それを心から追求している。若手役者の場合、アルバイトをしながらオーディションを受けているというパターンがほとんどだ。ドラマ『孤独のグルメ』で主役を務める俳優・松重豊は、20歳そこそこの時に、劇団「蜷川スタジオ」で舞台に立ったり、フリーで国内外のドラマ、映画などに脇役で出演したりしながら「下積み生活」をし、生計を立てるために中華料理店でアルバイトをしたりし、約10年してからやっと役者として生計が立てられるようになったという。そのように、長年世間に揉まれ、社会を観察してきたという経験が役者にとっては「大きな財産」となっていることに疑問の余地はない。

人気だけのアイドルは存在せず、演技が下手なら生き残れない日本

ある業界関係者は、「若手役者の演技が下手であることは、市場で良い競争メカニズムが構築されていないことと関係がある。日本では、若者は役者になった後、ゆっくりと時間をかけて演技を磨くことができる。そして、顔面偏差値やファンの数だけを頼りにして、演技を完全にないがしろにしているという役者はいない。役者の演技を市場やプロがいつも見張っているため、演技が下手な場合は絶対に生き残ることはできない」と指摘する。

それに対して、日本の視聴者は役者に厳しい目を向けることはなく、一人の役者が少しずつ経験を積んで成長し、最終的に一人前の人気役者になるのを「見守り」、その「成長を感じる」ことを好む一方、業界の評価基準や競争のメカニズムはとても厳しく、役者一人が長年活躍するためには、オファーを受け続けなければならず、そのためには業界と市場の両方に認められる必要がある。

中国と比べると、日本の映画・ドラマ業界は保守的で、映画会社やテレビ局数社が牛耳っている。そして、中国のように、大量の資本が映画・ドラマ業界に流れ込むという状況も存在しない。キャスティングの際、「人気」も重要な要素であるが、実際にキャスティングをするのは監督、プロデューサーなどの業界内の人たちだ。

また、日本の出演料は中国と比べると「年功序列」で、若い人気役者よりベテラン役者のほうが高い。例えば、同じドラマに出演していても、中堅俳優の香川照之の出演料はアイドルの松本潤より高い。そのような環境なら、出演料が高いのに演技が下手というケースは自然とほとんどなくなる。(編集KN)

「人民網日本語版」2018年3月9日


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