中国社会科学院が主催し、中国社会科学院日本研究所がアレンジすると「国際情勢変動下の中日関係:実務協力と未来展望」国際シンポジウムが12日、北京市で開催された。中日両国の政界要人、専門家、学者、メディア代表者ら約200人が一堂に会し、国際構造とアジア太平洋情勢の視野から、中日関係が置かれている歴史的背景と時代の環境について細かく深い分析を行い、中日関係がいかに長期的に安定し、持続可能な発展を実現すべきかについて多くの卓越した見解を示した。
日本による2012年のいわゆる釣魚島「国有化」後、中日関係は低迷を続けた。2017年5月の第1回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開催、2018年の中日両国の総理相互訪問の実現により、中日関係はようやく正常に発展する軌道に回帰した。これについて、中国の戴秉国元国務委員は開幕式の基調演説の中で、「中日両国は関係が正常な軌道に戻り徐々に改善される勢いを重視・維持し、両国の政治的相互信頼を着実に強化し、全面的な協力の発展に力を入れるべきだ。中日経済貿易・科学技術協力に取り組み、政治・安全問題の弱点補強に努力する。二国間協力を推進し、手を携え世界の変動に対応し、世界秩序の良い方向への発展を促すべきだ。保護貿易主義に共に反対し、多国間貿易体制を守り、アジアの文明を伝承・発揚すべきだ」と指摘した。
国際構造には現在、大きな変化が生じている、世界の中国への注目度が日増しに高まっている。中米貿易問題の動向は世界に影響を与えている。日本の福田康夫元首相は「中国側は日本を含む各国と手を携え協力し、共に課題に直面し、人類運命共同体を構築するため具体的な一歩目を踏み出すべきだ」と指摘した。
中国の指導者は、現在の世界は「百年に一度の大変動」を迎えていると何度も指摘している。中国社会科学院の謝伏瞻院長は、中日関係をこの変動の枠組内に置けば、問題をよりはっきりさせ、積極的に有利な条件を利用し、手を携え努力し前進することができると述べ、次のように続けた。中日両国にとって現在最も重要なのは、関係改善の「勢い」に乗り、交流方法を安定させる「型」を積極的に構築し、中日関係に向けより持久的で深みのある内的動力を育み、外部要素からの干渉と衝撃を極力減らすことだ。まず、問題を見据え、困難と知りながら前進し、中日関係がより多くの共通認識を蓄積するよう尽きることなき動力を提供する。次に、粘り強くやり抜き、干渉を取り除き、中日関係が協力の新たな局面を切り拓くため良好な雰囲気を醸成する。それから、形式の革新に取り組みメカニズムを強化し、中日関係が絶えず新たな発展を実現するため堅固な基礎を築く。
日本の横井裕駐中大使はこの観点に賛同し、日中関係は現在、新たな発展を迎えているとの判断を示した。今年に入り、日中間のハイレベル相互訪問、経済対話、地方交流が頻繁で、第三国市場の協力で大きな進展を実現している。中日は協力の中で、黙契を強めているという。横井氏は、中国の一帯一路構想が地域と世界の繁栄に貢献することに期待し、次のように述べた。両国が直面している国際情勢には依然として大きな不確実性がある。米中貿易交渉、朝鮮半島情勢、英国のEU離脱などの問題は、日中両国が直面する世界経済・社会環境に大きな影響を及ぼす。双方はこれに注意が必要だ。
開幕式後、大会は「国際情勢変動及びアジア太平洋地域の情勢:チャンスと挑戦」「中日関係:協力深化による持続可能な発展を実現」をテーマとする学術報告、それから「中日実務協力の実現ルートと未来展望」をテーマとする6つの総合討論を行った。中日関係の今後の発展を展望・予想し、両国の持続可能で建設的な関係の構築を推進し、新たな発展を実現するため提案を行った。
中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長は学術報告の中で、中日関係の長期安定を促進するため、双方はまず産業面の巨大な潜在力と相互補完性を認識する必要があると述べた。次に、食い違いを適切に処理し、敏感な問題を適切に管理する。それから戦略対話を強化し、協調の範囲を拡大するべきだと指摘した。
いかに世界の大きな流れに順応し、時代の変動の中で新型国際関係を推進し、世界の平和・発展・安定を守るべきか。これは中国の責任であり、日本が模索すべき発展方向でもある。世界の変動における共通の課題を見据え、中日両国は知恵を出し、共に時代の挑戦に勝つ必要がある。