日米経済戦争を鑑に 中国は外からの挑戦を恐れない

日米経済戦争を鑑に 中国は外からの挑戦を恐れない。戦後ある国の経済規模が米国の6割弱に達すると、米国が焦りを示すようになった。双方の協力はこうして苦境に直面した。米国はかつての小さな仲間を、潜在的に重大な競争相手とした。これはかつての日米貿易衝突のことだ…

タグ:経済 需要 金融政策 貿易 協議

発信時間:2019-06-10 14:20:22 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 戦後ある国の経済規模が米国の6割弱に達すると、米国が焦りを示すようになった。双方の協力はこうして苦境に直面した。米国はかつての小さな仲間を、潜在的に重大な競争相手とした。これはかつての日米貿易衝突のことだ。


 日米経済戦争が最も激しかったのは1980年代だが、より長い歴史的視角から見るならばそれは1970年代前半に生じていた。日米の経済関係はそれほど調和的ではなくなっていた。トランプ米大統領は先月日本を国賓訪問した際に、依然として日本が米国から得をしているとの観点を示した。これが米国が日本に経済戦争を仕掛ける根深い理由であることは間違いない。


 歴史を鑑とすることで興隆と衰退を知ることができる。米国と比べると日本の方が凋落しているが、日本は米国との経済戦争に最も慣れている。これは痛ましい教訓があるからだ。日本の学界も日米経済戦争を最も深く見直している。世界が百年に一度の大変動を迎えるなか、遠い過去と化した歴史はなく、我々に啓発を与えてくれる。


 日米経済戦争についてしばしば取り沙汰されるのは、1985年9月22日のプラザ合意だ。その頃から米国は日本の首を絞め始めたという観点が流行している。ところが日本人記者の船橋洋一氏は著書『通貨烈烈』の中で、「プラザ合意の真の試練は、その国内政策をより力強い国際協力に傾斜させる能力にあった。当然ながらこの試練に打ち勝つことができるかは、この尽きぬ物語の一部だ」との観点を示した。日本はこの試練に打ち勝つことができず、かつプラザ合意をめぐる物語は日本経済の凋落の物語、「失われた10年」を限りなく繰り返す物語だ。


 船橋氏は日本経済の90年代のバブルについて、「日本の最大の失敗は、需要側が最良の財政・金融政策を講じなかったことだ。また供給側の支持についても、組織的な改革の措置が奨励されなかった。プラザ合意は問題の根源ではない」船橋氏の観点は、日本で主流の見方を示している。経済学者の野口悠紀雄氏は、日本の輸出増は好況を意味せず、「改革が日本を変えた」という説は嘘に過ぎず、日本経済に実質的な好転は生じていないと判断した。輸出増は日本の輸出産業そのものの競争力を高めることで実現されるのではなく、輸出量の拡大と円安により価格面の競争力を高めることで実現されるというのだ。

 


 30年後、ほぼ同じ人、同じ観念、同じ筋書きが再演された。ただし主人公は日本から中国に変わった。これは中米貿易戦争の時代的背景だ。当然ながら中国は日本のコピーではなく、高度複合型のライバルだ。中米間の競争の広さと深さは日米経済戦争を大きく上回り、体力と知恵が試される持久戦になっている。


 まず、中国側の立場は鮮明だ。中米間の貿易協議は相互尊重・平等・互恵の上に成り立つべきであり、我慢の限界を探ったりこれを超えてはならない。日米経済協議の日本側の代表者だった当時の宮沢喜一大蔵大臣は、ジム・ベーカー財務長官にペコペコ頭を下げた。日本は協議で米国の言いなりになった。


 次に、中米貿易摩擦の裏側には構造問題がある。関税戦争は始まりに過ぎず、今後は中米両国の経済発展能力によって決まる。中米の経済発展の格差が縮小し、両国はいずれも10兆ドルクラスの大型経済体になった。これは世界経済の歴史にない現象だ。キッシンジャーが述べたように、中米関係は過去に戻れなくなった。日米経済戦争において、米国は日本という軍事同盟に対してまったく手を緩めなかった。これは市場経済体制における政治的強制でもある。


 それから、日本と比べるとドイツは米国との経済戦争の圧力に上手く対処した。これはドイツが欧州一体化に依存し、特に通貨協力により自身の金融の実力を形成したことが重要な理由になっている。日本の輸出立国モデルは1980年代に臨界点に達し、製造業輸出大国から資産大国にモデルチェンジした。金融の重要性が増していったが、日本の金融システムは国家経済戦略の変化に伴う改革に順応しなかった。中国は昨年、第1回国際輸入博覧会を開催し、輸出国から輸出入のバランスが取れた国へとモデルチェンジした。中国市場の拡大により必然的に人民元の流通範囲が拡大する。貿易国から金融国へのモデルチェンジが始まった。


 また、経済戦争の中心は産業の競争だ。特にグローバル化は非常に緊密な産業チェーン、サプライチェーン、バリューチェーンを形成した。日本の半導体産業は日米経済戦争の犠牲者だ。米シリコンバレーの戦略専門家のRichard J.Elkus Jr.は、半導体産業は撤退後に再加入しがたい業界だと述べている。ある強国の経済体制は生態系と同じく、全体が各部分の総和をはるかに上回る。米国のファーウェイ締め出しの中軸は、中国ハイテク産業の発展の阻止にある。これは産業が大国の命脈だからだ。米国は中国の新興産業の発展を阻止しようとしているが、中国はこれを恐れず、対応する能力も持っている。


 経済戦争は陣地争いではなく、双方の殺し合いでもなく、硝煙なき駆け引きだ。中国が何度も強調しているように、協力は中米にとって唯一の正しい選択肢だ。中米両国の発展は自国民の幸福に、そして世界経済の安定に関わる。(筆者・孫興傑 吉林大学公共外交学院副院長)


  「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年6月10日

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