習近平国家主席は28日、大阪で開催中の20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)で、「手を携えて共に前進、力を合わせて質の高い世界経済を実現」をテーマにしたスピーチを行った。(大阪=新華社記者/謝環馳)
【新華社大阪6月29日】習近平国家主席は28日、大阪で開催中の第14回20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)に出席し、「手を携えて共に前進、力を合わせて質の高い世界経済を実現」と題したスピーチを行った。
サミット開始前、習近平主席や他の指導者が順次会場に到着し、日本の安倍晋三首相の出迎えを受けた。
正午にサミットが開幕。安倍首相が主宰し、習近平主席がスピーチを行った。
習近平主席はスピーチの中で次のように提案した。
第一に、改革・イノベーションを堅持することで成長の原動力を引き出す。世界経済はすでに新旧原動力の転換期に入った。われわれは切り口を正確に探し、構造性改革を強力に推進し、デジタル経済の発展や相互接続の促進、社会保障措置の充実などを通じて、将来的な発展のすう勢に応じた産業構造、政策の枠組み、管理体系を構築し、経済の運営効率と強靱性を高め、質の高い発展を実現するよう努力しなければならない。
第二に、時代とともに前進することを堅持し、グローバルガバナンスを整備しなければならない。現在、経済のグローバル化には若干の曲折が出現し、いかにしてグローバルガバナンスを整備するかという時代の命題がわれわれに突き付けられている。G20は引き続きリーダーシップを発揮し、世界経済の開放的かつ共生的で、バランスの取れた、包括的な発展を確保しなければならない。われわれは多角的貿易体制を強化し、世界貿易機関(WTO)に対して必要な改革を行わなければならない。
第三に、困難に立ち向かい、成長のボトルネックを解決することを堅持する。世界が現在直面するさまざまな難題は、元をたどればすべて成長のギャップ、成長の「赤字化」と関係がある。世界的に見て、成長が見込まれる分野は依然として巨大な資金調達不足に直面しており、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は実行の任務が重く、進むべき道は遠い。中国が「一帯一路」共同建設構想を提唱した目的は、より多くの資源を動員し、相互接続の絆を強め、成長の原動力を解き放ち、市場の結び付きを実現させることで、より多くの国と地域を経済のグローバル化の中に溶け込ませ、互恵ウィンウィンの光明に満ちた道を歩むことにある。
第四に、パートナー精神を堅持し、意見の相違を適切に処理しなければならない。G20は世界の主要な先進国と新興市場国が集まっており、経済総量は世界の90%近くを占める。われわれはそれぞれ異なる発展段階にあり、一部の問題で利益と見解の違いがあるのは不思議なことではない。重要なのはパートナー精神を発揚し、相互尊重、相互信頼の態度に基づき、平等な協議を行い、小異を残して大同に付き、意見の相違を管理・コントロールし、共通認識を増やすべきということである。大国の間でこの点が成し遂げられるのであれば、自身の利益に合致するだけでなく、世界の平和と発展にも有利になる。
習近平主席はまた、中国がこれから打ち出す重要な経済措置について、次のように説明した。
現在、中国経済は安定の中で良い方向へ向かっており、国内総生産(GDP)の伸び率は複数年連続で6%以上の合理的な範囲を保っている。われわれが最近講じた措置の上で、さらにいくつかの重要措置を打ち出し、対外開放の新たな局面の形成を加速し、質の高い発展の実現に努める。
そのため、第一に市場をさらに開放する。われわれは2019年版の外資参入ネガティブリストを間もなく発表し、農業、採鉱業、製造業、サービス業の開放を一層拡大する。また、自由貿易試験区6カ所を新設し、上海自由貿易試験区に新区を増設し、海南自由貿易港の建設プロセスの模索を加速する。
第二に、自発的に輸入を拡大させる。われわれはさらに、関税率の水準を自主的に引き下げ、非関税貿易障壁の解消に努め、輸入プロセスの制度的な取引コストを大幅に削減する。また、第2回中国国際輸入博覧会を着実に開催する。
第三に、ビジネス環境を継続的に改善する。われわれは来年1月1日に新たな外商投資法制度を実施し、権利侵害に関する懲罰的損害賠償制度を導入する。また、民事司法の保護と刑事的保護を強化し、知的財産権の保護レベルを高める。
第四に、対等な待遇を全面的に実施する。われわれは外資参入ネガティブリスト以外の制限を全面的に撤廃する。参入後の段階で、中国国内に登録された各種企業を対等に扱い、同等の待遇を与え、外資系企業の苦情申し立てメカニズムを整備、健全化する。
第五に、経済貿易交渉を力強く推進する。われわれは東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期達成を推進し、中国と欧州連合(EU)投資協定の交渉を加速させ、中日韓自由貿易協定(FTA)交渉プロセスを加速させる。