ハイテク企業向け市場「科創板」の取引開始初日である7月22日に、日本取引所グループ(JPX)から祝電が寄せられた。科創板は多くのハイテク企業の資金調達ルートを切り拓き、これらの企業がより早い段階で公開市場から資金調達できるようにすることで、科学技術革新をけん引する。これは中日金融協力に新たな協力のチャンスをもたらす。
中国経済は高成長から高品質成長に移り変わり、ハイエンド産業の発展が必要になっている。科学技術革新により「労働駆動―資本駆動―技術駆動―革新駆動」のアップグレードを実現しなければならない。中日両国は各方面で金融協力モデルを切り拓き、両国の政府及び民間の金融協力を強化できると考えている。
(一)二国間金融協力対話枠組みをさらに強化する。中日間の経済協力対話枠組みには主に、中日経済ハイレベル対話、中日財務相対話などが含まれる。後者は両国のマクロ経済、双方の財政・金融協力、国際協力などの議題を非常に重視する。
(二)安倍晋三首相が昨年10月に訪中した際に、中日双方が署名した52件の第3国市場協力に関する合意を実行に移す。インフラ、金融、物流、エネルギー・環境保護、産業アップグレード、現代農業、電子商取引などの分野で徐々に協力を展開する。「一帯一路」イニシアチブのもと、中日の金融協力を強化し、合意の実行を促す。
(三)重化学工業などの従来の労働集約型産業から自動車、機械、半導体などの技術駆動型産業に転じた日本の経験を学ぶ。中日金融協力を通じ、金融協力による科学技術革新のサポートを実現する。
(四)中日両国政府が共同推進する金融協力枠組みのもと、両国の投資家の中日証券市場における投資機会を拡大するため、中日ETF(上場投資信託)相互乗り入れ枠組みを構築する。今年6月25日には中日ETFの相互上場が実現され、日本のETFが初めて中国で上場した。これは中日両国の資本市場と証券ファンド業の協力の掘り下げを促し、協力空間を切り拓き、協力経験を蓄積する。
(五)日本の資金調達プラットフォームを活用し、資金調達ルートを切り拓き、ベンチャー投資を拡大する。低金利、ゼロ金利、量的緩和策の実施により、90年代より日本の一部国内資本の外部流出が始まった。企業の資金調達コストは低めになっている。新興市場の中国の科創板は成長性が高く、日本の低コスト資本に理想的な投資先を提供した。
中日の金融協力には現在も米ドル体制への依存、協力プラットフォームの制度面の機能不全といった問題が存在しているが、中日関係の改善は中日金融協力の強化に向け理想的な環境を生み出した。科創板の取引開始を契機とし、中日金融協力を強化し、科学技術革新のウィンウィンを促すルートが増加することだろう。ご清聴ありがとうございます!(筆者・呉英傑 対外経済貿易大学日本研究センター研究員)