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japanese.china.org.cn |19. 01. 2020

(動画)専門家がズバリ(44)「曜変天目」に見る中日の審美の変遷

タグ: 僧家 茶事展 曜変天目 茶碗 杭州

    皆様こんにちは。


 陶磁史を研究している黄です。どうぞよろしくお願いします。


 さて、本日ご紹介しますのは1月5日に初公開となった杭州のコレクター所蔵の南宋の割れた「曜変天目」茶碗です。中国国内に唯一残されている曜変天目、国内初公開ということで、方方から注目されています。


 展示会の名は「慧日峰下-宋代僧家茶事展」です。中国浙江省杭州市の浄慈寺美術館で新年早々開幕しました。今回の展示には宋代の茶器114点出品、中には茶碗、茶托、水注、茶筒、建水とお茶関連の道具などが含まれています。これによって、宋代の僧侶が点てるお茶の歴史的全容が見えるようになりました。


 「曜変天目」は建窯の特殊な製品で、宋の時代、福建省の建陽地区が産地でした。「曜変天目」というのは日本人による命名で、茶碗の色彩が変幻極まりないところから夜空の星の神秘的な光に喩え、「曜変」と名付けられました。曜変天目茶碗はこの世に3点しかなく、いずれも日本にあります。


 ちなみに、この割れた茶碗が一番良く似ているのは東京静嘉堂文庫所蔵の曜変天目茶碗です。


 今回の展示品は、中国・杭州の方肖鳴氏が集めた破片をつなぎ合わせたもので、ご覧の通り4分の3くらいしかありません。これで「半点」と呼ばれています。高台の保存状態は良好で、元の碗の形もはっきりわかります。サイズの方ですが、口径は12.5センチ、総高は6.8センチ、高台の直径は4.2センチです。


 全体的に黒く、つややかです。内側には黒色のうちにさらに濃い紺色の群星がつながったり、散在したりしています。外側にも黒い点を包む紺色が点在しているという感じです。


 コレクターによると、最初の2つの破片は2009年上半期に、杭州市上城区東南化工場から掘り出されました。その後さらに数カ月に渡り、労働者から20数枚の破片を買い求め、これをつなぎ合せました。


 注意すべき点は、東南化工場は南宋時代、臨安の国賓館ーー都駅亭がかつてあった場所で、図面の紅色の四角に示されています。ここからほかに龍泉窯、定窯、建窯の多くの破片が出土されました。


 中国陶磁史に造詣の深い森達也教授は、静嘉堂の曜変天目には使用した明らかな痕跡がありますが、この割れた茶碗は新品で、使用の痕跡は認められないと指摘しました。


 中国では元以降、染め付け及び五彩の磁器が尊ばれるようになりました。明代以降、抹茶という飲み方が廃れ、お煎茶をのむようになりました。徽宗皇帝が一番評価した「建盞」も忘れられました。 


 近年、中国人は再びこの貴重な器に目を向けはじめ、「曜変天目」を見るためにしばしば日本に足を運びます。この謎に満ちた「半点」の曜変天目茶碗は、中日文化交流史に関する新たな研究を呼んでいます。


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