「2020年上半期は新型コロナウイルス感染症の影響で、日本の対中直接投資総額は前年同期より3.9%減少したが、日本の製造業の対中投資総額は2割増加した。中でも輸送機械設備への投資増加が目立ち、全投資額の4割を占めた。そのほか、日本企業は自動車分野とヘルス・介護分野への投資を強化している」
21日に北京市で開かれた「対話太倉――中日韓経済貿易協力交流会」で、日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所の日向裕弥副所長は日本企業の最新の対中投資状況を発表した。その中のデータと事実は、以前メディアで広く伝えられた「多くの日本企業が本土撤退」や「日本企業が中国のサプライチェーンから離脱」などの情報を改めて考えさせた。
日向氏によると、新型コロナウイルス感染症の発生後、ジェトロは対中投資を行う日本企業の今後1~2年の経営計画を調査し、半数以上の企業が「現時点で計画変更なし」や「まだ分からない」、2割が「規模を拡大する」と回答した。中でも注目すべきは、湖北省に投資する日本企業のうち、「規模を縮小する」と回答した企業はゼロだった点である。これは日系自動車が中国の自動車市場で良好な販売業績を維持していることと密接に関係していると分析された。湖北省に投資する日本企業の約半数が自動車産業関連で、主な取引先である日系自動車メーカーの業績が良好なため、これらの企業は収益見通しと経営計画を楽観視しているとみられる。
以前、新型コロナに伴う操業停止などの問題により、中国で業務を行う日本企業のサプライチェーン安全問題が懸念された。今年4月、日本は2435億円に上る補助計画を打ち出し、日本企業のサプライチェーン改革の費用に充て、それら企業の国外サプライチェーンを自国または東南アジア諸国に移す支援を行うと発表した。菅義偉首相の先日のベトナムなどの国の訪問も、日本政府が企業の東南アジア市場分散を引き続き推し進め、サプライチェーン分野の対中依存を変えようとする大きな行動の1つだと見られている。日本政府のこの措置を受け、対中投資を行う日本企業はどう対応するのか。
日向氏によると、日本企業を対象に実施した調査で、華東地区と華南地区に投資する日本企業の9割は産業チェーンまたは生産基地の計画に変更がないことがわかった。日本企業の動向から、世界でいち早く(コロナ禍で)経済成長を実現した中国市場からの撤退したり生産拠点を大きく変更したりする兆しは全く見られないという。
まさにその通りである。新型コロナの流行後、中国は科学的かつ効果的な手段で感染症を迅速に抑制し、世界経済が深刻な衰退に陥る中で真っ先に勢いよく回復した。先日発表された統計によると、中国の第3四半期のGDP成長率は4.9%に達し、これは中国経済に粘り強さと活力があり、中国に投資する各国企業に強い自信を与えたことを示す。
在中国日本大使館の福永茂和参事官は、中国経済の回復は日本経済、特に対中輸出の安定した回復を後押しし、中日経済に巨大な協力余地をもたらしたと話した。また、日本企業は安心して中国で業務を展開でき、中国の明るい経済見通しと幅広い市場見通しのほか、中国政府の外商法の実施、長年続く外商投資参入ネガテイブリストの縮小などの一連の開放政策によるビジネス環境の改善からも恩恵を受けている。
中央政府が対外開放を全力で進めると同時に、各地方政府も地理や環境の優位性、良好な政府サービスを利用し、投資の便宜化を高め、ビジネス環境の市場化・法治化・国際化レベルを絶えず引き上げている。
長江沿岸にあり上海と隣接し「中国が日本の先進設備を輸入する第一の港」と称される太倉市を例に挙げると、近年、太倉市は優れた立地、関連の優遇政策と高い事務効率を利用し、企業が技術革新、増資・生産拡大などを行うために土地、人材、金融、環境などを全面的に支援している。太倉市はハイエンド設備や自動車コア部品など7大産業チェーンを形成し、500社以上のドイツ企業、192社の日本企業、89社の韓国企業を誘致している。同日開かれた交流会は、太倉市政府が積極性を発揮し、優れた日韓企業や経済機関などに交流の窓口を広げ、幅広い日韓企業に協力の扉を開ける一大措置でもある。活動で、太倉の各区鎮は日韓と4つの重大プロジェクト契約を結び、プロジェクト総投資額は12億7000万元に達した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年10月22日