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japanese.china.org.cn |27. 05. 2021

新型コロナウイルスを中国医学で治療 ある在日中国人鍼灸師の挑戦

タグ: 新型コロナウイルス


 

鍼治療を行う賀さん 

患者の回復は賀さんにとっても喜ばしいことだが、鍼灸の新型コロナウイルスへ有効性が証明できないのが残念だとも語る。「鍼灸はいまだ日本では医療手段として認可されておらず、保険外診療になるため、ニッチな分野にとどまっています」と問題点を指摘、さらに「中医や中薬には西洋医学で証明できないような要素が多いため、日本で中医を行うためには効果を口コミで伝えてもらうしかないのです」と中国との状況の違いを語った。

精誠堂を開設した20年前は、患者がほとんどいない状況がしばらく続いた。「私は治療が困難だと思われる患者さんには鍼灸を使うことが多いです。顔面麻痺、間質性肺炎、がん手術や化学療法の後遺症、帯状疱疹、各種疼痛には明らかに効果があります。時が経ち、難病が治った患者さんの口コミで、今は中国伝統医学の認知度も徐々に上がりつつあります」と賀さんは20年の苦労を語る。 

 

賀さんが作った免疫力を高める経絡とツボのマッサージ方法を書いたチラシ 


医は仁術なり

著書について話が及ぶと、賀さんは1枚のチラシを取り出し、経絡とツボのマッサージで免疫力を高める方法を語ってくれた。そして、「これは去年新型コロナウイルスが日本で流行し始めた頃に作ったものです。免疫力を高めて感染予防をしていただきたいと思い、通院する患者さんにお渡ししました。あの頃の日本は新型コロナウイルス予防のノウハウも物資も不足し、不安を抱えていましたが、一方中国は武漢でのウイルスとの闘いから、中医と西洋医学を併用するノウハウを得て、中医や中薬を用いた治療が大きく進展しました。私はそういった情報を皆さんにお知らせし、少しでも社会のお役に立ちたいと思っています」と、医師としての役割を語った。

賀さんの医者としての慈愛の心は新型コロナウイルスの流行に始まったことではない。九州に住むある僧侶は、長時間の正座による頑固な膝関節の痛みに悩まされ、人を介して賀さんの診療所の門をくぐった。昨年九州を襲った洪水の際に僧侶の寺も大きな被害を受け、政府の補助金が下りないことを知った賀さんは、治療費を無料にするとともに、寄付も行ったという。

 

 

患者の脈を取る賀さん

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