4月13日、首相官邸前で福島原発汚染水の海洋放出決定に抗議する人々(写真=新華社提供)
日本メディアの報道によると、日本政府が福島原発汚染水の海洋放出決定を正式発表して以来、貯蔵タンクの漏水事故がたびたび発生し、原発汚染水の処理に対する日本国内および国際社会の関心はますます高まっている。
福島第一原子力発電所のタンクに貯蔵されている原発汚染水は主に事故でメルトダウン・損傷した炉心に注入された冷却水で、大量の放射性核種を含んでいる。これらの物質は本来自然界に存在せず、国際的にも放出の前例がないことから、福島原発汚染水は一般的な原発の正常な稼働で排出される冷却水とは本質的に異なる。世界的な権威を持つ米科学誌『サイエンス』の4月13日発売号は、日本が現在行っている浄化処理プロセスでは、ルテニウムやコバルト、ストロンチウム、プルトニウムといった半減期がより長く、危険な放射性同位元素が処理から漏れていると指摘した。
原発事故の発生後、日本の全国漁業協同組合連合会や福島県などの地域住民は真っ先に汚染水の海洋放出に反対し、今も断固反対し続けている。全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は「海洋放出はわが国の漁業の将来に壊滅的な影響を与えかねない」と警告し、福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は「海には境がない」と強調した。また、福島県の内堀雅雄知事は菅義偉首相に「政府は原発汚染水海洋放出に反対する福島県民の声にしっかりと向き合っていただきたい」と述べた。
日本政府の決定は国際社会、特に周辺諸国の厳重な抗議を招いた。韓国政府はたびたび日本政府の決定を非難し、文在寅大統領は本件に関して駐韓日本大使に対面で重大な懸念を伝え、さらにこの問題の国際海洋法裁判所への提訴を検討するよう政府関連部門に指示した。また、中国外交部の趙立堅報道官は5月25日の定例記者会見で、「日本側が自国の利益のために危険な決定を下したことは後世の人々と世界の生態に被害を及ぼす。このことについて日本が知らないふりをしていても、国際社会が必ずや日本に分からせることになる」とコメントした。
アメリカは自国の国際戦略に協力するよう日本を懐柔するため、海洋放出決定に公然と支持を表明した。だが、アメリカは日本の海産品に対する輸入制限が依然最も厳しい国であり、それを緩和する兆候は全く見られない。このようなアメリカ政府の姿勢は国際社会からも疑念を持たれており、韓国外交部の鄭義溶長官は4月20日、日本の原発汚染水海洋放出を支持する根拠を示すようアメリカに要請した。
日本政府は今後2年をめどに排出用設備の設計と認可、建設を行い、30~40年で汚染水の排出を終わらせる予定だ。しかし、どのようにして人々が納得できるデータで汚染水処理の安全性を証明するかは、日本政府が自国の漁業従事者と国民、そして国際社会にはっきりと説明しなければならない重要課題だ。
「北京週報日本語版」2021年5月26日