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japanese.china.org.cn |02. 07. 2021

中国、日本企業の中期の「最も潜在力を持つ事業展開先」に

タグ: 市場 経済 潜在力 感染対策

 中国国際商会、江蘇省貿易促進委員会、江蘇省太倉市人民政府が共催する「中日韓経済貿易協力フォーラム2021 in 太倉」が29日、沿海経済ベルト及び長江デルタ経済圏に位置する太倉市で開催された。中日韓の政治・ビジネス関係者及び企業代表者が会議に出席し、中日韓協力の現状と未来について共に議論した。日本の国際協力銀行(JBIC)が発表した2020年度の「日本製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」によると、海外現地法人を3社以上有する日本企業356社のうち、中期(今後3年)で最も潜在力を持つ事業展開先を中国としたのは168社(47.2%)。中国がインドを抜き再び首位になった。

 

 JBIC北京駐在員事務所の越智幹文首席代表によると、この調査はJBICが昨年8月21日より日本企業954社を対象に開始したものだ。調査の目的は、日本企業の海外における事業展開の現状の調査と今後の展望。調査項目には、事業実績評価、事業展開の見通し、中期的な有望国・地域、コロナ禍のサプライチェーンへの影響など。11月12日現在の有効回答は530社で、うち354社が「中期的な有望国・地域」について回答した。

 

 中国のこの調査項目における得票率は前年比で2.6ポイント増の47.2%にのぼり、5票の差をつけ再び首位になった。中国を選んだ企業の理由のうち、「現地マーケットの現状規模」は66.5%、「現地マーケットの今後の成長性」は58.1%で、これに「産業集積がある」「組み立てメーカーへの供給拠点として」「安価な部材・原材料 」が続いた。

 

 また多くの企業は、中国が新型コロナウイルスを効果的に封じ込め速やかに経済活動を再開したことから大きな自信を得たとした。新型コロナウイルスの影響を受け、日本企業の世界各地における収益の満足度が前年度より低下しており、特にインドとタイの低下が顕著だ。しかし中国市場は唯一、収益の満足度が上昇した国になった。ある一般機械企業の責任者は「中国は2019年度末の新型コロナウイルスの影響を速やかに払拭した。中国政府も外資系企業に力強い財政支援を提供した。(そのためわが社の)中国への好感が高まった」と明言した。

 

 多くの企業が、中国における事業展開が順調で、「世界各地からの注文のほか、中国国内からの注文も多い」と指摘した。一部の電機及び電子部品、輸送機などの企業はさらに、中国市場から工場自動化の導入を検討中と表明した。

 

 さらに調査によると、中国市場で新型コロナウイルスのサプライチェーンへの影響が最も深刻だった時期は2020年4−5月だが、この影響は現在ほぼ解消されている。日本企業も、「運転資金の確保・積み増し(133社)」「同一製品の複数の生産拠点確保(123社)」「生産工程の自動化・省人化投資(122社)」「現地調達・販売の強化(118社)」などの、サプライチェーンの安全を保証する対策を講じた。他にも一部企業は「在庫管理の強化と積み増しの検討」「中国国内での複数拠点確保」「地産地消によるサプライチェーンの短縮化」などを行うとした。

 

 これらの好材料により、日本企業の中国市場の既存の規模及び今後の成長性への期待が着実に高まっている。中国市場への実行ベース直接投資額も大幅に増加している。

 

 この調査結果は企業代表者からも裏付けを得た。当日フォーラムに出席したAGC執行役員、同グループ中国総代表の上田敏裕氏は、「日本企業の対中投資の思考」と題したスピーチの中で、「中国経済の持続的な成長により、中国は世界最大規模かつ急成長する製造業、長年の発展と消費高度化により世界最大になる消費市場、世界各国の優秀な企業を集める投資市場を持っている。イノベーション、デジタル化、新インフラなどへの投資拡大を続け、かつ感染対策により強靭なリスク対応体制を示した。これらすべての要素により、中国は魅力あふれる投資環境を作った。日本企業はこの変化にチャンスを見いだし、中国企業と技術や人材などの各方面の協力を強化し、各自の比較優位性を発揮し、良好な相互補完関係を構築するべきだ」と指摘した。


 

 これは実情にも合致する。感染症の衝撃により世界市場が萎縮するなか、中国の特大規模の市場の優位性がより顕著になっている。中国国際商会の張屹副秘書長によると、特に全国のGDPの4分の1、最も消費力の高い人口の2億4000万人を有する長江デルタにおいて、世界クラスの都市クラスタの市場の潜在力がスムーズに引き出されている。「ドイツ企業の里」と呼ばれる太倉を例とすると、太倉に進出している日本企業数は現在約200社にのぼり、投資総額は20億ドルを上回っている。韓国企業は80数社、投資総額は10億ドル弱。

 

 太倉市委員会書記の汪香元氏は、「太倉市政府は今後さらに政策サービスや要素サポートなどの活動を徹底し、全力で最も優れたビジネス環境、最高の比較優位性を構築する。より多くのグローバル企業がハイエンド設備製造、新材料、物流・貿易本部経済、航空・宇宙、バイオ医薬品などの分野をめぐり、太倉と広く掘り下げた協力を展開することを歓迎する」と述べた。


 

 フォーラムの現場ではプロジェクト集中契約式も行われ、中日韓企業は総投資額106億4600万元に上る24のプロジェクト契約を結んだ。

 

 

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年7月2日