中国社会科学院日本研究所、全国日本経済学会、社会科学文献出版社は17日、『日本経済青書:日本経済と中日経済貿易関係研究報告(2021)』記者会見・学術シンポジウムを北京で共同開催した。青書の編集者代表、全国各地の大学と研究所の中日問題専門家・学者が会議に出席し、オンライン・オフライン同時進行で中日経済貿易の関心事を深く分析した。
青書編集責任者で全国日本経済学会常務副会長の張季風氏によると、本年度の青書は「コロナ禍の日本経済と中日経済貿易関係」をテーマに、「全体報告」「サブ報告」「中日経済貿易関係編」「地域産業チェーン構築と地域協力編」「関心点追跡」の5項目を設置し、コロナ禍の日本経済、中日経済貿易協力の状況と課題、今後の動向を全面的に分析した。これを土台に、同書は新型コロナ流行後に顕在化した地域産業チェーンの断裂、RCEP調印後の東アジア地域協力、東京オリンピックの経済影響、日本のデジタル経済、デジタル通貨などを重点的に分析した。
中日経済貿易協力の強化は非常に必要
報告によると、コロナ禍で、日本経済は全面的に萎縮したが、中日貿易は成長した。日本の財務省の統計によると、2020年の日本の輸出は11.1%減少し、対米輸出は17.3%減少したが、対中輸出は2.7%増加した。中国の税関総署の統計によると、2020年の中日間貿易額は3175億3000万ドルで0.8%増加した。また、日本の財務省の統計によると、2020年1~11月の日本の対外投資額は31.2%減だったが、対中投資額は6.9%減だった。中日貿易投資の情勢に逆らった成長は中日経済関係の粘り強さ、日本経済の中国に対する依存度上昇を示している。
感染症が今も蔓延し、一国主義と保護貿易主義の影響、世界経済の不確定性が残るが、中国経済の発展は確定している。2020年、中国は再び日本最大の輸出市場になり、日本の対中輸出額が輸出総額に占める割合は22%、中国からの輸入額が輸入総額に占める割合は25%に達し、日本経済の中国に対する依存度は上昇している。
国内国際双循環が相互に促進し合う新たな発展構造の中で、中日経済貿易協力の強化は非常に必要である。協力の主な分野については、中日両国の産業チェーン整備、科学技術革新、省エネ・環境保護、医療・療養、デジタル経済、第三者市場の協力を強化すべきである。
中日は公共衛生問題と防災・減災の面で協力を強化すべき
報告によると、中国の防疫面の成功例は、感染症を有効的に抑制することが経済の再始動と成長において重要な前提になると証明した。日本のコロナ流行は依然として複雑かつ厳しい状況にあり、中日両国は世界的リスクへの対応、特に世界の公共衛生問題および防災・減災などの面で密接な協力を強化し、世界と地域の公共衛生の安全と人類運命共同体の構築に貢献すべきである。
報告は、コロナ禍で、中日両国には幅広い協力余地があるとの見解を示した。例えば、新型コロナウイルスワクチンの世界範囲での有効的供給と公平な分配、世界保健機関(WHO)の枠組み下での国際社会防疫協力の推進、有効的な世界伝染病抑制メカニズムの構築、アジア太平洋地域の協力による有効的な防疫を基礎とした景気回復、サプライチェーンと産業チェーンの安全維持、多国間の経済協力の推進などである。
中日はアフターコロナ時代の世界経済ガバナンスに着目すべき
また報告は、世界経済の回復の光が見え始めたが、新型コロナの流行は続いており、景気回復の原動力を低下させる潜在的脅威を見くびってはならないとした。中国と日本は世界2位と3位の経済圏であり、経済貿易協力の範囲は二国間を越え、地域発展の自信の向上、世界経済の回復促進において重要な影響力を持っている。双方はアフターコロナ時代の世界経済ガバナンスに着目し、地域と多国間の経済貿易問題における交流と協力を強化し、RCEPの早期発効を促し、中日韓自由貿易交渉の早急な決着を推し進め、東アジア地域の経済成長の潜在力を有効的に高め、コロナの世界貿易への影響を和らげ、地域経済の長期かつ安定した成長を実現すべきである。
同時に、中日両国は本地域と世界の責任ある国であり、気候変動への対応、持続可能な発展の実現などの課題に関しても交流と協調を継続し、より密接な国際協力を展開すべきである。また、WHOやアジア太平洋経済協力(APEC)などの多角的な体制下で協調・協力し、多国間主義、開放・包容、互恵協力、時代とともに前進、正常な国際貿易秩序と環境の共同維持を堅持し、アフターコロナ時代の国際秩序の維持と世界経済ガバナンスの強化の面でより牽引的役割を発揮すべきである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年9月17日