いま中国では、「海外大学の学位」がこれまでとは違って就職活動で不利に働いているようだ。中国の大学の国際的なランキングが上昇するにつれて、海外留学は勉強のできない人の「逃げ道」と見られている。香港メディアの報道を引用し、日本メディア「クーリエ・ジャポン」が伝えた。
中国の就職市場では、国内の名門校の学位取得者の人気が上がっている。中国教育部の統計によると、2019年に留学した中国人の総数は70万3500人だった。しかしこれらの留学生は帰国後、就職市場で最高の競争者ではなくなっている。
2018年にイギリスの有名大学、ブリストル大学で社会学の学位を取得した李さんは、「私たちが国内大学の出身者よりも有利な立場にあるとは思わない。地方や中小企業に応募する場合は特にそうだ。そうした企業の採用部門は、985計画や211計画に選ばれたような中国の大学の方に傾く」と述べた。現在あるフィンテック企業に勤める陳さんは、「私が以前勤めていた会社の採用担当者は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが何なのかまったく知らなかった。国内では西側の有名大学は、一部の人が期待するほど広く認知されてはいない」とため息をついた。
香港中文大学のある教授は、「西側の大学の学位は中国ではもはや珍しくもなく、いわゆる『証書のインフレ』が生じた。多くの卒業生が自身の競争力を高めるため、インターンシップと卒業試験に取り組んでいる」と述べた。
多くの求職中の若者は、学位をどこで取得したのかと同じく、「地元の人脈」が物を言うことにも気づき始めている。海外で長年留学した人よりも、雇用主は国内の有名大学の卒業生を好む。広州に暮らす呉さんは、留学中も国内のインターンシップのチャンスを手にしたという。「私の母校は中国の雇用主からある程度知られていた。インターンシップを通じ、私は人脈を築いた。そのためすべてが順調であれば、インターンシップ先の正社員になれる可能性がある」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年1月10日