世界保健機関(WHO)は、韓国の中東呼吸器症候群(MERS)は未だに世界的に注目される突発的な公衆衛生事件ではないと判断したが、伝染病の拡大に向け備えをするよう呼びかけた。韓国のMERSは国内で蔓延を続けており、路線バスに乗ろうとする韓国人が激減している。海外メディアが18日に伝えた。
韓国では17日にも感染による死亡者が1人追加され、計20人となった。感染が確認された患者は162人、隔離者数が6500人以上に達した。
韓国保健福祉部は17日、54歳の女性患者が治療のかいなく死亡したと発表した。この患者は5月19−20日に、初の感染者を出した京畿道の平沢聖母病院でウイルスに感染した。患者は生前、気管支拡張症や高血圧などにかかっていた。
新たに確認された8人の患者のうち5人がサムスンソウル病院で感染した。そのうち1人は、感染確認者のX線検査を行った職員だった。
サムスンソウル病院での感染が相次いでいることから、保健当局は今月2−10日に同病院を訪問したすべての人の調査を行うことを決定した。
MERSの影響を受け、多くの韓国人が感染を恐れ外に出られなくなった。路線バスや地下鉄などの公共交通機関を利用する市民が大幅に減少し、特に週末や通退勤のラッシュ時に利用する乗客が激減した。
ソウル市の統計データによると、路線バスの利用者はMERSの感染拡大前の5月末と比べ約80万人減(20.5%減)、地下鉄は79万人減(23.6%減)となっている。公共交通機関は、このために12億4000万ウォンの損失を被った。
MERSの発生から1ヶ月弱がたち、すべての韓国人が極度の恐怖と不安に襲われている。
32歳の妊婦は、「毎日地下鉄を利用し通退勤しているが、MERSの感染が心配で夜も眠れないことが多く、一晩中眠れないほどだ」と話した。
ある主婦は、「MERSのせいで、子供たちとほとんど家に引きこもっている。世界が止まったかのようで、塞ぎがちだ。この不安な環境の中で成長する子供を見ると、子供に悪い気がするほどだ」と述べた。
韓国の隔離者数は現時点で922人増の6508人となっており、うち3951人は観察期間を過ぎ、隔離を解除されている。
WHOは、MERSが韓国の住宅地内に拡大した証拠は見つかっていないと報告した。韓国でのMERSの感染は、人の移動が頻繁な現代社会において、すべての国が伝染病に対応する備えをする必要があることを証明した。
WHOはまた、訪韓を禁止したり貿易禁止措置をとる必要はないとしており、入国検査を行う必要も現時点ではないとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年6月18日