研究者:高所得国となった中国でいかに高齢者社会を迎えるべきか

研究者:高所得国となった中国でいかに高齢者社会を迎えるべきか。

タグ: 高所得国,中国,高齢者社会

発信時間: 2016-07-23 10:32:32 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 「人民日報」に掲載された「長期的な成長エンジンを維持するために国際経験から学ぶ」(作者:中国社会科学院米国研究所所長 鄭秉文)がネット上で多くの人々にシェアされている。同文章によると、中国はすでに中所得国となっており、今後6~7年で「中所得国の罠」を抜けて高所得国の仲間入りをする。その意味では大きな懸念を持つ必要はない。中国は今後も発展が期待できるし、経済成長や社会発展が人々にどのような新たな「獲得感」をもたらすのかに関心が集まっている。たとえば、高所得国になった後、老後の社会保障にどのような変化がもたらされるのか。シルバーモデルにどんな変化があるのかなどである。

  老後保障レベルは向上するか

 国連の予測によると、2040年前後に中国は60歳以上の高齢者人口がピークを迎え、4億3100万人となり、総人口の3分の1を占める。この数は現在のアメリカの人口を上回るものだ。中国が高所得国になったのち、老後保障レベルは向上するだろうか。

 鄭秉文氏によれば、世界では中所得国から高所得国になる過程で、一人当たりの老後保障レベルは向上している。老後保障レベルが向上するだけでなく、各方面の福利厚生レベルも向上する。ただし、ある国の老後保障を評価する際、単に年金の額の多寡を見るだけでなく、老後収入構造の変化、老後保障制度の持続可能性、高齢者サービスの健全性についても見る必要がある。

 老後収入構造を例に採ると、たとえ老後保障レベルが向上しても、老後の収入源が単一的なら、それは不安定なものとなる。よい老後保障構造は多元的である。多様な柱を持つべきであり、老後収入構造としては政府による年金制度で支払われる金額を増やす以外に、企業による柱、個人加入による柱を手厚くしていくべきである。老後収入に多様な構造を持たせることで、老後保障はより安定したものとなり、持続性のあるものになる。

 注意すべきなのは、高所得国は直ちに先進国を意味するものではないということだ。中国は2024年に高所得国になるが、これは「小金持ち」になったばかりの状態に過ぎない。この時、傲慢になってはならない。必ず年金制度を設計し、老後保障構造を最適化し、高齢者サービスを向上させるなど、より深い老後保障制度改革を進めていくべきである。

  主流モデルはどのようなものか

 鄭所長は、“住宅を使った老後”とは要するに資金源の話だと指摘する。これは一種、市場が提供する老後金融商品である。つまり、もし金融市場がリバースモーゲッジ(自宅を担保にした年金制度)を提供できるなら、高齢者に選択肢が1つ増えたことになる。リバースモーゲッジは一部の国で発達している金融モデルだ。それは西洋の家族の遺贈文化と関連がある。中国人は世代間の遺贈を重視するため、リバースモーゲッジは受け入れにくい制度である。しかし、家を担保にするのではなく家を貸し出すことも、資金源という面でみれば同じことになる。これなら、遺贈できるだけでなく、家を使ってお金を生み出すこともできるではないか。そのため“住宅を使った老後”は、中国社会で直ちに否定されるものではない。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月23日
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