世界の高速鉄道発展史をみると、それほど順調とは言えない。ドイツの鉄道、イギリスのユーロスター、イタリアの高速鉄道も、フランスのTGV、日本の新幹線も、事故や難題に出くわしている。
ドイツ
「1998エシェデ事故」でドイツ人の技術崇拝が終了
ドイツは優れた技術設計で有名で、1991年8月2日にドイツの高速鉄道(都市間快速列車)が運営を開始した。このハイテクの列車は1998年までの7年間、死亡事故ゼロだった。
1998年6月3日、287人を乗せたドイツの高速列車がミュンヘンからハンブルグに向かう途中のエシェデ付近で突然脱線した。時速200キロで走行していた列車は180秒の間に橋から林に突っ込み、重さ300トンもある線路が崩れ落ち、8両が次々と衝突した。この事故により101人が死亡、88人が重傷を負った。犠牲者の中には2人の児童も含まれており、生存した18人の児童のうち6人が母親を失った。
この事故は「1998エシェデ事故」と呼ばれ、ドイツひいては世界の高速鉄道発展史における最悪の事故となった。
フランス
高速鉄道のケーブル窃盗が頻発 ヘリコプター導入
ケーブルの窃盗はフランスの鉄道部門を悩ませている。統計によると、2016年の鉄道のケーブル窃盗によるフランス国鉄の運休時間は5800時間に、直接的な経済損失は3000万ユーロに達した。中でも高速鉄道のケーブル窃盗は鉄道機関を麻痺させ、117本の列車が遅れ、4万人以上の乗客に影響を及ぼし、フランス国鉄に苦痛をもたらした。フランス鉄道はフランス政府と総額4000万ユーロの高速鉄道新保護計画を制定することで合意。またフランス国鉄は、ケーブルの安全と時間通りの運行を維持するため、ヘリコプター48機で3万キロメートルの鉄道沿線を巡回することで警察当局と協力協定に調印した。