江南葬儀場には十数人の納棺師がいるが、王馨連さんは唯一の女性で、最も若い納棺師の1人でもある。市全体を見ても女性の納棺師は少ない。市民政局によると、重慶市の葬儀業従事者は3394人で、うち死化粧師は80人、女性はその10分の1以下である。
この業種を選んだ理由について、王馨連さんは「幼い頃に見たドラマの影響」と話す。
王馨連さんも他の受験生と同じで、大学入試の時に学科選びで迷った。「特に好きな学科がなく、法医学を一番学びたかったが点数が足りず、最終的に葬儀を選んだ。法医学とあまり変わらず、卒業後も就職しやすいと思った」と王馨連さんは話す。彼女は2010年に重慶城市管理職業学院に入学し、近代葬儀技術と管理を学んだ。卒業後は江南葬儀場に就職し、死化粧師の仕事をしている。
「以前の考え方は幼く、ドラマの影響で自分が名探偵になった気になり、すべてが殺人事件で、事件解決に参加したいと思っていた」と王馨連さん。就職したばかりの頃、誰もが理想を抱くが、彼女もそうだった。実際は、現実の世界にそれほど多くの殺人事件はなく、死化粧師が事件解決に参加することなどありえない。
王馨連さんは、「毎日多くの亡くなった人がここにきて、化粧をする。死者と遺族を前にするとドラマのように事件を気にするわけにもいかず、その後どうなったか聞くこともあるが、同僚もよく知らない。警察が事件の詳細を教えてくれることはまずない」と話す。王馨連さんの最初の理想はだんだん薄れていき、『おくりびと』の主人公のような気持ちになっていった。彼女は、死化粧師はこの世での最後の旅を手助けする技術者で、非常に神聖な職業で、平常心を保つ必要があると考えている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年12月24日