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japanese.china.org.cn |15. 05. 2018

九死に一生の脱出劇 四川航空機の窓ガラスが飛行中に破損

タグ: 四川航空 緊急着陸 窓ガラス


 「危なかった。まさに九死に一生だった」5月14日午後、趙仕海さんは成都市第一人民医院の草地に座り、手で首の裏を押さえながら動かし、凝りをほぐそうとした。妻が近くに立ち、時おりマッサージをしてやった。


 同日朝、夫婦は空で危機に直面した。彼らが搭乗した四川航空3U8633便の操縦室のフロントガラスが、飛行中に破損した。同機は成都の双流国際空港に緊急着陸した。


 四川航空が微博公式アカウントで発表した情報によると、重慶からラサへ向かっていた同機は故障により、成都に緊急着陸した。


 その後、驚きの詳細な情報が発表された。中国民用航空西南地区管理局(以下、同管理局)が発表した情報によると、同機が成都上空を飛行中、操縦室右側のフロントガラスが破損し、緊急着陸を行った。


 中国青年報・中青在線のインタビューに応じた際に、趙さんは手を挙げてさっと振り下ろすことで、当時の光景を再現した。「ちょうど寝ていたところで、急に飛行機が激しく揺れだし、上昇してから急降下していった」


 シートベルトを着用していなかったので、機内が激しく揺れた時に、趙さんは「放り出されたようだった」という。首を負傷し、手には傷跡がついた。「上下に何度も揺れ、客室内の酸素マスクが下りた。客室乗務員はマスクを着用するよう緊急の指示を出した」


 趙さんは機内の中央からやや前寄りの席に座っていた。彼が事態を飲み込めないうちに、冷たい風が前の方から吹き付けてきた。すると操縦室のドアが開き、機内の物が床に散乱し、転ぶ乗客も少なくなかった。


 操縦室のドアが開かれたとき、趙さんはフロントガラスが割れているのを目にした。それから乗務員が手動でドアを閉じ、飛行機の揺れがやや収まった。趙さんは「十数分続き、それからやや緩やかに降下するようになった」と振り返る。


 初めて飛行機に乗った于祖兵さんは、「ついていなかった」と話す。彼は妻と知人の3人でラサを訪れ、四川料理店を開く予定だった。「やっとのことで飛行機に乗ったのに、こんなことになるとは」


 于さんはどうしたら良いか分からず、「最悪の事態も想定した」という。周囲の乗客の多くが慌てふためいていた。「乗務員が行ったり来たりし、どうすべきか大声で教えていた」


 操縦室内で、劉伝健機長と徐瑞辰副操縦士はこのアクシデントに直面していた。劉氏は成都商報の記者に「フロントガラスが急に破裂し、バンという大きな音をたてた。横を見ると、副操縦士(の体)が半分飛び、体の半分が窓の外にぶら下がっていた」と述べた。


 事故発生当時、同機は約3万2000フィート(約9800メートル)の上空を飛行していた。劉氏によると、ガラスが破損するとまず圧力が損失し、急な変化により鼓膜が傷ついたという。気温は急激に零下20−30度に低下し、凍傷が起きた。


 「メーターのカバーが開き、騒音が大きく、何も聞こえなかった。無線のほとんどが壊れ、目視水平儀で操作を行うしかなかった」軍事学校で飛行経験を持つ劉氏は完全に手動と目視で、意志の力により操縦を続けた。


 劉氏は降下中、7700緊急通報を出した。これは機械故障や乗務員の急病など、航空機がアクシデントに見舞われたことを意味する。この特殊コードは管制のレーダーシステムに赤で表示される。管制とその他の航空機に、回避を促す。


 同管理局が発表した情報によると、民間航空各サポート部門の緊密な連携、乗務員の正確な処置により、同機は7時46分に成都双流空港に着陸し、すべての乗客が無事だった。降下中に右座席の副操縦士の顔に切り傷ができ、腰を負傷した。1人の乗務員も降下中、軽傷を負った。


 成都双流空港に着陸後、機内は混乱を極めていた。趙さんの妻は「乗客は30分ほど待たされてから降りた。それから別の便に乗り換える人と、病院に検査に送られる20数人の2組に分かれた」と振り返る。


 四川航空が14日午後に発表した情報によると、乗客は職員に導かれエアターミナルで休憩し、3U8695便(成都〜ラサ)に乗り換えたという。同便は12時09分に離陸。乗客27人と乗務員2人が病院に送られた。3U8633便の機長は無事で、休憩中。副操縦士は切り傷を負った。乗務員1人が腰を負傷し、治療を受けている。残りの乗客27人に、大きな異常は見られない。


 同管理局が発表した情報によると、同管理局、四川監管局は真っ先に現場に駆けつけ、調査と処置を行った。


 着陸した瞬間、于氏はほっと一息つき「生き延びた感覚になった」という。


 多くの乗客がショックを受けた。于氏は着陸後間もなく、ある女性が気を失い、医療スタッフに搬送されるのを目にした。その女性は病院で椅子に腰掛け、胸を叩き続けていた。彼も思わず、自分の胸を叩いた。


 趙さんと妻は何度も機長について話し、「ガラスが割れ、彼は私たちよりも危険だったはずだ。無事に着陸できたのは、彼のおかげだ」と語った。


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