研究者はインフルエンザに感染したかを観察、測定し、症状があればもう後戻りはできない。
この研究は長期間(通常10日ほど)かけて志望者をインフルエンザに感染させ、ウイルス環境の中で生活させる。これはワクチンの効果を評価し、インフルエンザを予防する最善の方法と言え、ワクチンの有効性も確かめることができる。
インフルエンザワクチンの有効性の研究の多くが、ワクチンを接種した人と接種していない人の2組に分けて実施し、研究者はインフルエンザが蔓延する季節に発症した人を研究する。
しかしこのような研究は、誰がウイルスと接触したか、どの程度接触して感染したかを知ることができない。子供の鼻水に触れることが多い保育士とあまり外出しない人では接触のリスクが全く異なる。
そのほか、長期に及ぶインフルエンザ流行期(6カ月以上)で、本当にインフルエンザに感染して症状が出たかを判断するのは難しい。インフルエンザと似た症状があっても、インフルエンザではないことも多い。
インフルエンザに感染しても何の症状も現われないケースも多い。1960年代、多くの医学生がこの挑戦的な研究の犠牲になった。いい加減に研究すれば、多くの被験者を傷つけ(死に至ることもある)、病気をさらに広めることになる。
そのため、この挑戦的な研究を実施するにあたり、適切な措置と監視は極めて重要である。
「インフルエンザ・ホテル」には24室あり、ウイルス拡散防止技術(2枚扉の入り口や特殊な通風設備など)を採用し、研究者と非感染者のためのクリーンルーム、個人防護具(PPE)を着替える更衣室もある。
インフルエンザによる苦しみは愉快なものではないが、科学者に貴重な情報を提供し、これらの情報が最終的に数百万人の命を救うことになるかもしれない。
そのため、インフルエンザ研究に参加する人を賞賛すべきである。この研究でより優れたワクチン(インフルエンザのジェネリック薬など)が開発され、毎年の流行、さらには死の脅威がなくなる(少なくとも抑制)とよい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年6月13日