全国の一部の都市で、国有公共交通企業が主導するバスのネット配車サービスが密かにブームになっている。国有企業はインターネットの発想により、伝統的な産業とインターネットを結びつけている。実体経済がバーチャル経済のメリットを導入し、公共交通企業の供給モデルの革新が進み、乗客の多層的かつ多様な移動の需要が満たされている。
乗客:時間と手間とお金を節約
深セン市光明新区のバス停「華星光電」付近で暮らす蒋莉さん(仮名)は通勤前に顔を洗う時に、携帯アプリで予約したバスがこのバス停に到着したかをチェックする。この「eバス」を逃してしまえば、通勤は非常に厄介になる。
「市街地は住宅価格が高く、光明(新区)で購入するしかなかったが、会社は羅湖(区)にある。eバスに乗ったことがなかった頃は快速バスに乗り、それから地下鉄に乗り途中で一回乗り換え、2時間掛けて会社に通っていた。乗車料金は15元だった。このバスならば1時間半ほどで会社に直接到着し、乗り換える必要がない。乗車中に眠ることができ、乗車料金も7.5元に節約できる」
蒋莉さんが話すこの「eバス」とはIT企業が提供するサービスではなく、国有企業の深セン市東部公共交通有限公司(以下、同社)による配車バスだ。乗客は自分の需要に基づき路線を提案したり、既存の路線を検索し事前に予約することもできる。これは移動の需求の不一致という難題をある程度解消し、公共交通サービス水準を高めている。
深センの特殊な都市空間構造により、大規模な交通ラッシュが生じている。特に旧特区外の交通インフラは整備が遅れている。従来の公共交通の有効供給能力では、乗客の多層的かつ多様化する移動の需要を満たすことができず、需求バランスの乱れが目立っている。
これらを背景とし、同社は一本化された長距離移動を実現する配車バス「eバス」を打ち出し、すぐに市場から認められるようになった。2016年1月に第1陣・8本の路線の試験運行を開始してからわずか2年余りで、当初の会社員通勤市場からサービス範囲を拡張し、休日旅行専用線、ショッピング専用線、臨時予約路線、キャンパス内路線などを開通させた。
同社の賈涛副総経理は記者に「eバスの各路線の平均距離は約49キロだ。今年第1四半期まで807本の通勤路線を開通させており、EVバス771台を投入している。累計走行距離は5288万キロ、累計乗客数は延べ1562万人にのぼる」と説明した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月23日