福建省福州市長楽区松下鎮には、人にあまり知られていない長嶼島という島がある。この面積が約0.65平方キロメートルの小島は海壇海峡に位置し、強風と高波で交通が遮られ、断水・停電に陥ることが多い。この島の長楽区長嶼小学校の教員、王開佺さんと妻の林珠金さんはここで23年間に渡り、人生の最も良き時間を島の教育事業に捧げている。
島の生活は苦しく、全長500メートルの唯一の村級コンクリート道路も近年になり敷設された。物的条件が立ち遅れており、多くの人が島を離れようとしている。20年以上に渡り、島の人口が減少し、学校の学生も減っていった。派遣された教員も長くは持たず、すぐに立ち去ってしまった。王さん夫婦も離れようとしたことがあり、特に子供が小学校を卒業し外の学校に進学せざるを得なかった時はなおさらだった。夫婦はそのことで長く議論したが、最終的に子供に自立させることを選んだ。
王さんは2010年の冬の夜のことを忘れていない。妻の林さんが薬物アレルギーにより気を失ったため、妻を救うため高波の夜に船で島を出た。漆黒の海面で暗礁に乗り上げ、高波の中で九死に一生を得た。立ち去るべきか留まるべきか、夫婦の覚悟が再び試された。「私のような現地人でさえ離れるならば、ここに残って教師をしようとする人がいるだろうか」王さんは再び、妻を説得した。
今や子供が大学に進学し、夫婦の悩みも減った。夫婦は「島の学校に通う子供がいる限り、私たちが離れることはない」と話した。