屠氏は1971年9月、マラリアに効果を発揮する薬を探すため、東晋の有名な道教学者である葛洪(抱朴子)の『肘後備急方』を当たった際に、「一握りの青蒿を水につけ、汁を搾り取り服用する」という記述を見つけた。これにより屠氏は、青蒿の有効成分を低温で抽出する必要があると考えた。それまでの抽出方法は高温すぎ、有効成分が損なわれていた。そこで屠氏は抽出に用いる溶剤を、沸点の高いエチルアルコールから沸点の低いエチルエーテルに変えた。
これにより奇跡的な効果が得られた。この抽出物を使用したマウスとサルのマラリア抑制率が100%に達したのだ。
アルテミシニン(青蒿素)類複合薬は21世紀に入ると、マラリア治療の主流薬品になった。世界保健機関は2015年9月の「マラリアのミレニアム開発目標」に関する報告書の中で、人類とマラリアの戦いの2015年の現状は、新ミレニアム開始時の悲観的な予測とは完全に異なるとした。2000年と比べると、世界の新たなマラリア感染者数が37%減少し、死亡率が60%低下した。620万人の命が救われた計算になる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年2月5日